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【完結保証】帰りたいけど帰れない!? 〜残念魔法使いと巨大な猫と小さな兄弟と平凡なおれの異世界ライフ〜  作者: 小野しば


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19 夢と新たな約束

 おれは暗闇の中を走っている自分を上から眺めていた。


 何故か髪の毛が緑色に光っていて、キラキラしている。

 不思議だなあと思ったが、おれは異世界へ召喚されたことを思い出した。

 こちらの世界に来た途端、髪の色が変化したんだったっけ……。

 

 一緒に召喚された、幼い兄弟のリュウセイとユウ。

 あの子たちのことを考えた途端、ポツリポツリと雨に濡れる感触。


 ん? いや、雨じゃないーー。


 顔をあたたかく柔らかい何かがはっている。それは繰り返し、ペロペロと……。






 目の前にフワフワの茶色の塊。なうん、と鳴いたそれは、大きな猫の目でおれをみて……


「なんだ、チビか……」


 あ、そうだーー……


「リュウセイとユウはっーー……!?」


 起き上がったおれは、チビの横にいたブルーと目がかち合う。


「よかったあ!」

「は、ぇっ!?」


 そのままぎゅと抱きしめられた。急なことに驚き固まる。


「ほんとによかったあー!」


 ブルーはお構い無しに、おれを更に抱き込んだ。






「す、すいません。取り乱してしまって……」


 あのあと、抱きつぶされそうになりながらうめき声を上げたおれに気づき、ようやっと身体を離してくれた。


 こいつ、力強い……。


「い、いや、気にしないでいいよ。えっと、なんかおれ、また迷惑かけたんだよな……? というか、そうだ。リュウセイとユウは? 無事帰れたよな?」


 いろいろと思い出してきたおれは、まくしたてるようにブルーに聞いた。

 ブルーはそんな俺の様子に、「げ、元気そうでよかった……」と涙が滲んだ目でおれを見つめ言った。


 大袈裟なやつだな……。


「まず、リュウセイくんとユウくんのことですが、儀式は無事に終わりました。安心してくださいね」

「そ、そっか」


 おれはホッと息をついた。

 ブルーたちを信用していないわけではないのだが、初めて見た(召喚されたときは何が何だかわからなかったし)召喚の魔法が本当に機能しているのかまったくわからなくて、正直不安だった。


「先生や神殿の力をおかりしまして、ふたりが帰った後も、魔法で追ったんです。それで無事に帰れたことも知れました」

「そんなことまでわかるんだ」

「はい」


 微笑むブルー。


「それでですね。アオバくんについてですが」

「あ、おれ。2人を見送ってて……その、途中から記憶がなくて」

「はい。アオバくんは、リュウセイくんたちが帰還した瞬間に倒れてしまったんです。その後、3日間は目を覚ましませんでした。それで先ほど目覚めたんです」

「え、それ……まじか」

「『まじ』です」


 ブルーと見つめ合う。


「……」

「……」

「ふふ」


 沈黙をやぶったのはブルーだった。やさしい灰色の目がこちらを見た。


「とにかく、アオバくんの意識が戻って良かったです。でもなぜ急に倒れたのか分かってないんです。地球への帰還の魔法になにか反応したのかもしれませんし、特に関係はないのかもしれない……まだ調査中なのが、申し訳ないのですが……」

「おれもさっぱりわかんないけど、その。心配かけたよな。ブルー、ありがとう」


 ブルーはちょっと驚いた顔をしたあと、目をそらせ「当たり前のことをしただけですから」と言った。

 よく見ると、目じりの辺りがほんのり赤くなっている。もしかして……照れてる?

 なんだか妙な空気に居心地が悪くなってきたんだが……。いや、それよりも言わなくてはならないことがあったんだ。

 初めてブルーと出会ったとき、おれたちを地球にかえすまで世話をしてくれって半ば強制的に約束をしたんだ。

 それで今は、リュウセイとユウは帰ることができた。あとは残るはおれだけなんだが……。


 おれは、小さな子どもってわけじゃない。許されるのだろうか。

 でも、帰りたい気持ちはずっと消えないのも事実で。


「あの、さ。最初の約束覚えてる?」

「約束ですか?」

「そう」


 正直ちょっと言いづらいけど、言う。


「おれとリュウセイとユウを地球の家にかえしてくれ、って。それまで、保護しろって、かなり……強めに言った、よな?」


 恐る恐る聞くおれに「そうでしたね」とブルーはのんびり顔。


「その約束まだ残してても、いい?」

「もちろん」

「……だよね。ごめん、おれ図々しくて……、て、え? もちろん?」

「はい」

「………いいの?」

「ええ。責任を持ってあなたを守ります。次の帰還の召喚はまだ随分と先になってしまいますが……そうですね、地球の暦で言うと、1、2年後くらいでしょうか。でも、必ず約束通り地球の家に帰します」


 思わずブルーに抱きつく。こんどはブルーが慌てふためく。


「え、あ、あのっ」

「ありがとう!」


 身を離して改めてブルーを見る。


「これからもよろしく……な」

「……こちらこそよろしくお願いしますね」


 ほっと一息ついていると、ブルーがおれの肩に手を置いて、優しくだがぐいと押した。


「え、なに?」


 ぽすん、とそのままベッドに仰向けに倒れた。見上げるとブルーの真剣な顔。


「……」

「ブルー?」


読んでくださり誠にありがとうございます!


面白かった。続きが気になるかも。また読みたい。


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正直に感じた気持ちでもちろん大丈夫です!


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