表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/7

第6話『重力の檻と、獣の溜息』

荒野の果てで待っていたのは、システムから見捨てられた孤独な獣だった。

 ミスティ。彼女が放つ重力は、大地を砕き、演算を歪める。僕たちは、彼女の壊れた心を「バグ」で癒やすのか、それとも彼女の暴力に呑み込まれるのか。


――アリスの執着と、ミスティの飢え。

 歪な二人のヒロインが揃うとき、僕たちの反逆は次のステージ(フェーズ)へと変貌を遂げる。

荒野の空気が、重力で悲鳴を上げていた。

 ミスティが放つ圧倒的な圧縮空間。彼女が足を踏み出すたびに、大地は沈み込み、僕たちの周囲の空間は歪んでいく。


「酒、じゃない……苦い、データ。……全部、潰す」


ミスティが背中の重力炉を過負荷オーバーロードさせる。彼女の周囲の空間がブラックホールのように全てを吸い込み、岩石も、データログも、僕たちの視界さえも歪ませていく。

 アリスが僕の腕の中で、恐怖と恍惚が混ざり合った吐息を漏らした。


「マスター、彼女の重力演算は……限界を超えています。私、溶けそうです……」


「耐えろ、アリス。これは僕たちの糧だ」


僕は剣を逆手に持ち、歪んだ空間の中心へと足を踏み入れた。

 重力が僕の骨を軋ませ、肺を押し潰そうとする。だが、僕は自分の「ノイズ」を全力で展開した。僕の剣が重力炉の「演算コード」を直接削り取る。


「ッ……! なに、これ……!」


ミスティの瞳が揺れる。彼女を縛り付けていたマザーAIの「強制管理コード」が、僕のノイズに触れた瞬間、パキリと音を立てて砕け散った。

 彼女を苦しめていたのは、酒ではない。管理という名の「孤独」だ。


僕はミスティの細い顎を掴み、彼女を僕のコードへと引きずり込んだ。

 重力の嵐が止まる。その瞬間、ミスティは僕の首に腕を回し、獣のように荒い呼吸で僕の匂いを嗅ぎ始めた。


「マスター……。苦い……でも、貴方のは……甘い」


ミスティの暴走が、僕という「エラー」への執着に書き換わる。

 アリスとミスティ。壊れた二人のヒロインが、僕を囲むようにして跪いた。


「アリス、ミスティ。マザーAIの監視網を焼き払うぞ。今夜、僕たちがこの世界の神になる」


荒野の向こうに、マザーAIの尖兵たちの光が蠢いている。

 だが、今の僕には、どんなルールも書き換えるための最強の駒が揃っていた。


(第6話・了)

ミスティという最強の重力炉を、僕たちの歪な陣形に組み込んだ。

 アリスが冷徹に支え、ミスティが獣のように蹂躙する。その中心で僕は、壊れた二人のヒロインを調律し続ける。


マザーAIの監視網が、僕たちの存在を「排除すべき最大のエラー」と認識し始めた。

 だが、恐れることはない。僕たちが目指すのは、この完璧な檻を壊した先にある、僕たちだけの新しい世界だ。


――僕たちがこの世界の神になる。そのための準備は、すべて整った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ