第二章ー8
日本は四つの地方に分けられており、北から順に、北土、東土、西土、南土地方と呼ばれている。
そこからは市町村で細分化される。
ウィザード養成学校である五校は、北土地方の竜峰、東土地方の夢ノ丘市と聖市、西土地方の三つ葉、南土地方の雲海市に分散して設立された。
東土地方が二校なのは生徒数の問題である。
大都市の数が最も多いのは東土、次いで西土、南土、北土がそれに続く形となっている。
企業の本社も多く東土地方にあり、日本の世界維持管理組織本部があるのも夢ノ丘市の隣にある大都市、櫻山市である。
しかし、全ての企業が東土地方にあるわけではもちろんない。
その企業に合った立地場所があり、人が多いの場所が好ましいなら東土や西土だがその逆の理由で北土地方にも需要はあるのだ。
人が少ない場所にもたくさんのメリットがある。
人が少ない場所は言い換えると、監視の目が少なく、あったとしても察知することが出来る場所なのだ。
つまり、人に知られたくない秘密の実験の最適地と言えるのだ。
ーーーー
「で、結局私達は何をしたらいいの?」
香が姉の光に尋ねた。
すると光は、一瞬のためらいを見せたが、「そうね……」と真剣な面持ちで始めた。
「あなた達には、鳥羽組が何かを起こすだろうと私達が予測しているこの二ヶ月の間、この地域を監視、および不審者の拘束をお願いしたいの」
光の言葉を聞き、貴人に緊張がはしった。
隣の香が息を呑む。
貴人が驚いた理由は、光が“拘束”という言葉を用いたからである。
今回も世界警察の依頼は五月祭で与えられたような“監視”のみのものだと思っていた貴人。
(今回は戦闘も込みなのか……)
光が再び言う。
「もちろんこんな事をただの高校生に頼むなんて、あり得ない事だとは思っているわ。たとえ、人員が不足していてもね……」
ここで光は一度言葉を区切り、「でもーー」と始める。
「人手不足なまま動いた場合と、少しでもあなた達のように力のあるウィザードに頼った場合とでは圧倒的に違う結果になるの……」
ここまで言うと、光は黙ってしまった。
自責の念に駆られているかのように見える。
すると、その隣に一夜が立った。
先程とは違う、真剣な目つきである。
「もちろん、これは強制じゃない。嫌ならそれでも構わない。でもこれだけは言わせてもらうよ。僕は君達なら無事にこの依頼を完遂してくれるだろうと確信を持っているからこうやって依頼しているんだよ。力だけではなくて、総合的に考えて、ね。だから改めてお願いするよ。どうか僕達に協力してくれないだろうか?」
そう言う、一夜の声は真っ直ぐで、そこに偽りなどがない事を貴人には見て取れた。
貴人は悠奈と香を交互に見る。
すると、既に二人ともこちらを見ている事に気が付く。
その表情から、どうやら二人とも自分と同じ決定を下していることが分かった。
二人とも貴人が自分と同じ返答であると分かったようで、軽く頷いた。
そして、貴人が三人の意志を告げる。
「任せて下さい。二人の期待に応えられるよう頑張ります」
そう、貴人がはっきりと伝え、残りの二人もそれに強く頷くと、一夜と光は少しだけ、肩の荷を下ろしたように微かな笑みを浮かべた。
「そう言ってくれて本当に感謝しているよ。そうと決まればこちらも全力で君達をサポートさせて貰おうじゃないか……っと、その前にもう少しだけ詳しく、君達にお願いしたい地域の事を話そうか」
こんにちは、八坂カロンです。次話からようやく話を進められそうです。尚、次回の投稿は少し早めに出来ると思います。




