第二章ー5
各国の政治体系は多様性に富んでいる。
世界維持管理組織が統治する国もあれば、昔から“貴族”と呼ばれる存在がほぼ独裁的に国を支配している場所もある。
その中でも少し珍しい形態、《三権分立》と呼ばれるものを取り入れているのが日本である。
“三権”とは、三つの組織を指す。
外国との政治的やりとりを行う世界維持管理組織、国内の企業や秩序を監視する日本平和協会、通称、日協がその二つだ。
そしてもう一つの組織ーー六王家、が入っている事が日本の体系におけるもっとも異端な点である。
他国の“貴族”というものに近く、日本でも支配という名残りを示す象徴とも言い換える事も可能だ。
国外を世界警察が、国内を日協が管理する中、六王家は主にその二つのサポート役を行っており、それは戦闘だけでなく外交まで幅広い。
故に六王家及び、分家の人間達は食料品から新しい術式装置の発明多くの分野で第一線に立っているのだ。
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「それじゃあ話を始めようか。この写真を見てくれないかい?」
貴人達は一夜に連れられるがまま、前回と同じ部屋に案内された。
各々が椅子に座ると、早速一夜が本題に入ろうとして、貴人達に一枚ずつ写真を配った。
その写真には、鈍い光を放った黒色の指輪が写っていた。
目立った装飾等は見受けられないが、思わず見入ってしまう、そんな魔力があるように貴人には思えた。
「これは……?」
香が尋ねる。
「それは不可侵の指輪と呼ばれる伝説級のアームズだよ」
「これが伝説級? そういえば内側に術式が見えるような……」
一夜の口にした言葉にすこし驚いた様子を見せた香は、もう一度手元の写真を見直した。
貴人も見直すと、確かに術式の模様が指輪の内側にあった。
なんとなく事情を察した貴人は一夜に尋ねる。
「これが日本のどこかにあるんですね?」
「お、鋭いね〜。流石だよ」
「まあ、こうやって呼び出されてるわけですし……。関係ないならこんな事話さないでしょ?」
「はは、違いない。貴人君の言う通りこの指輪が恐らく今日本のどこかにある。まあ正確にはこの写真に写っているのとは別物だけどね」
「この指輪は沢山あるんですか?」
一夜の言葉に悠奈がすかさず反応した。
すると一夜が
「本当鋭い子達ばかりで助かるよ。そう、この指輪は沢山存在していたんだ」
「していた?」
「そう、過去形だよ。今は三個しかなくて、その内二つはイギリスが所有しているのさ。少しだけこの指輪の出自を話そうか」
一夜は軽く咳払いをして、貴人へ質問をぶつけた。
「ラドルドという国は知ってるよね?」
「確か五年前に世界警察が潰しに出動した国って……」
そう貴人が言うと一夜がすこし苦笑しながら説明を始めた。
「潰しにって……まあ確かにそういう事なんだけど。あの国は軍事国家の中でも、非人道的な行為も厭わないやり方で有名だったから僕達は動いたんだよ。あれは極めて稀なケースで、基本的に僕達は今もどこかで起きている戦争に介入する事は基本出来ないんだ。それにもいろいろ下心があるんだけどね。そこらへんは割愛しようじゃないか、僕達はラドルドを制圧した、そしてそこにあった建物でこの指輪を二十個近く見つけたんだ。そしてイギリスが二つ所持をして残りは全て破壊した。そこにあら不思議、もう存在しないはずの指輪が日本にやって来た、。あ、ちなみにどうやってそれを知ったのかは教えられないよ。これでこの指輪の話は終わり」
ここで一夜が一旦言葉を区切り、「で本題は……」と貴人達全員を見据えて真剣な面持ちで告げた。
「君達に日本を守ってもらいたいんだ」




