第二章ー4
「すごいね……」
悠奈が目の前にそびえ立つ壮観な建物を見上げて呟いた。
放課後、貴人、悠奈、香の三人は貴人と香は前回訪れた事のある世界警察日本支部の前にいる。
「最近お姉ちゃん全然家に帰ってこないんだ〜」
香の話を聞きながら貴人達が足を踏み入れると、光の姿が確認出来た。
こちらに気づいたらしい光が近づいて来た。
相変わらずスーツ姿が様になっていたが、心なしか疲れているようにも見えた。
「こんにちは、貴人君に悠奈さん。先月ぶりね」
「こんにちは、光さん。何だか疲れているように見えますけど……」
そう貴人が聞くと、光はおもむろに眼鏡を外し、目元を手で抑えながら「えぇ」と呟き
「爆弾魔の件の処理で徹夜続きなの……」
「あぁ、なるほど……」
事情を理解した貴人が光に同情の念を送ると、光がこちらに顔を向ける。
整った顔立ちにくっきりと存在するクマが何ともミスマッチだった。
「その事で一つ君に聞きたいことがあるんだけど……」
「え? 俺ですか?」
光にいきなりそう言われ、狼狽する貴人。
心当たりといえばーー
「もしかして、あの銃の事ですか?」
「ええ」
そう言うと、光は首肯した。
「本当なら所有主の君に渡すべきなんだろうけど、性能を試してもらったら伝説級と認定されてしまって、結構噂になってて……。だから君が所有主であると知られてしまったら色々面倒な事になると思うの」
確かに、光の言う通りである。
ましてや貴人が造ったなんて知られると、平穏な日々が失われてしまうことなど目に見えている。
自分のせいで悩んでいる光に少し罪悪感が芽生えた。
「なんかすいません……。別に俺は要らないんで破壊するなり誰かに渡すなりしてもらって構わないですよ」
「本当?」
そう貴人が言うと光の顔が少し晴れた。
どうやら悩みの種の一つを取り除けたらしい。
「そう? それはありがたいね」
不意に、光の後ろから若い男の声。
貴人が目を向けると、そこには白髪の超絶イケメンが立っていた。
ドヨーンとした雰囲気の光とは対照的に全身からエネルギーを放出している。
「やあ、貴人君」
「どうも……。元気そうですね……」
「はは、そうかい?」
笑いながら一夜が言う。
すると、光が
「一夜さんは何もしてないですもんね」
「やだな〜、ちゃんとハンコ押したよ?」
「……」
どうやら事務的な作業は光に丸投げのようだ。
悠奈と香が光を哀れんだような目で見ていた。
「まあ、そういう事だから出来るだけ早く要件を終わらせてしまおうか」
そう一夜が切り出した。
そこに香が問う。
「あの、他の人達がいないようですけど……」
「今回は個別に来てもらってるんだ。他の子達にはもう全て伝えてあるよ。君達で最後だ。今回は少し説明に時間がかかるよ。まあ取り敢えず、落ち着いて話せる所に移動しようか」
そう言う一夜に続き、貴人達は移動した。
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少女が一人
辺りには暗闇
目の前の朧気な何かがこちらを見つめる
それが何なのか分からない
少女はそれに手を伸ばす
その手は虚空を掴むだけ
ひたすら耳をすませる
耳鳴りすらも聞こえない
諦めまいと目を凝らす
ただ黒一色の景色が見えるだけ
少女は必死に自分の存在を伝えようとした
そして世界は反転する
その時、少女は何かを見た
それは一瞬の出来事
もう一度、もう一度手を伸ばした
そこは暗闇




