第一章ー42
香が人型の魔導機兵と対峙している頃、貴人と悠奈を応援していた寧々達は闘技場から出ようとした時、世界警察から現在の状況を聞かされていた。
「まじかよ……」
寧々の隣にいた愛斗が呆然と呟く。
津々良の息を呑む音が聞こえる。
観客席にいるウィザードもそうで無い者も同様にざわついていた。
一般人にとって危害はないと知らされていてもそんなものは気休めにもならないのだろう。
自分達の近くに戦争兵器がうろついているのだ。
(これからどうする……)
寧々はこれからの自分の行動を考える。
貴人達は恐らく魔導機兵の制圧に向かっているだろう。
自分もそうしたいのだが闘技場の外にいる世界警察に止められるのは目に見えている。
「寧々先輩」
不意に津々良が話しかけてきた。
いつになく真剣な津々良の表情が寧々をより一層気を引き締めさせた。
「どうした?」
「私達はどうすればいいんでしょうか?」
どうやら津々良も寧々と同じ事を考えていたらしい。
愛斗達の様子を見ると爆弾魔の件を知っているのはどうやら寧々と津々良の二人だけのようだ。
寧々がどうするか改めて思考していると
「あ、あれ!!」
観客席にいた一人が大声をあげながらフィールドの方を指差した。
寧々もそちらへ顔を向けるとそこには四つ足のライオンを模した魔導機兵が三体と蜂を模した下の方に鋭い針を持った魔導機兵が二体現れた。
「「う、うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」」
すぐに観客達がパニックに陥った。
昨日出場していた火賀の分家の男達も慌てふためいていた。
侵入を許すとは相当人手不足なんだろう。
寧々は決心する。
「津々良!」
「はい!」
「中に入ってきた奴は二人で処理をするぞ!」
「了解です!」
「ちょ、ちょっと待って!」
二人がフィールドへ飛び降りようとすると海が二人を呼び止めた。
海の後ろに愛斗、阿澄、未来もいた。
「僕達も戦うよ」
「駄目だ」
「どうしてさ!?」
海の願いを寧々は拒否する。
思わぬ返答だったのか海が少し声を荒げた。
それに対し寧々は穏やかに答えた。
「お前達は昨日ディーヴァをかなり使っていただろう? そんな奴等を戦わせるわけにはいかない」
「だけど……」
「それにーー」
納得しようとしない海達の言葉を遮って寧々は口元を緩めながらはっきりと言った。
「あんな雑魚どもは二人で十分だ」
それだけ言って寧々と津々良はフィールドに降り立った。




