第一章ー43
「空雅院さん!」
貴人は目の前に一夜と光の姿を見つけ呼び止めた。
前司達に勝利した後夢からのメールを確認した貴人は悠奈と闘技場の外に出てきた。
闘技場から出てくる時に世界警察の人に魔導機兵の事を聞いていた。
最初は止められたが貴人が頼むと意外と簡単に通してくれた。
それ程切迫してるのだろう。
一夜がこちらに気付いて振り向いた。
一夜は貴人を見た後、悠奈の方に視線を向けた。
「やあ、貴人君、僕の事は一夜でいいよ。それと氷上悠奈さんだね。貴人君と暮らしてるっていう」
「氷上悠奈です」
一夜が笑顔で悠奈に確認する。
どうやら一夜はある程度こちらの事を把握しているらしい。
悠奈が夢とも自己紹介を終え全員が真剣な顔つきになった。
貴人が問う。
「一夜さん達は爆弾魔の居場所をしっているんですか?」
「一応ね。金髪の男が闘技場に入って行ったという報告があったよ。恐らく地下にいるんだろうね」
「俺達も行きます」
「な!? 駄目よ!」
貴人の言葉を聞き光が慌てた様子で声を上げた。
「相手は犯罪者よ! 魔導機兵なら貴方達でもなんとかなると思うけどあの男は危険すぎるわ!」
光はこれは私達の仕事だと言いたいのだろう。
しかし貴人は引き下がらない。
「爆弾魔は地下に何か仕掛けているに違いないと思うんですけど、それに対処出来ないんじゃないですか? 見たところ簡易的な術式装置しか持って来てないみたいですけど」
「確かにそうだけど……。でもそれとこれは別問題よ!」
「俺ならそれを止められますよ?」
「なっ!?」
貴人の言葉を聞き一瞬たじろぐ光。
相当驚いたのだろう。
「でも……!」
「まあいいじゃないか光」
「一夜さん!?」
光が言葉を続けようとした時、一夜が光を制止した。
その顔はどこかおもしろそうだった。
「貴人君が本当にそんな事が出来るなら見せてもらおうじゃないか」
「私も行きたいわ」
ふと貴人の後ろで女性の声がした。
貴人が振り返るとそこにはこれまた面白そうな顔をした夢がいた。
どうやら話を聞いてたらしい。
「夢先輩!?」
「こんにちは貴人。応援に行けなくて悪かったわね」
夢が笑顔で言ってくる。
「そんな事は全然良いんですけど……。ここに来るまでに魔導機兵とは遭遇しなかったんですか?」
貴人は何事もなかったような顔をしている夢を見て問う。
「そういえば途中でクワガタみたいなのと熊みたいな魔導機兵を数匹倒したわ」
「流石ですね」
簡単に言う夢に貴人は内心舌を巻く。
人型ではない魔導機兵とはいえ一人で倒すのは普通のウィザードには一苦労のはずだ。
並の攻撃では傷一つつけることが出来ないのだから。
「それじゃあ貴人の活躍を見させてもらうために地下に行こうじゃない」
そう言いながら夢は背中を向けて歩き出した。
一夜はますます面白そうに、光は溜息をついて諦めたように、悠奈はいつもと変わらない様子で、貴人は夢に感心しながら後に続いた。
長い前振りも終わり次回からはバトルシーンになりそうです。




