第一章ー41
夢の連絡を受けぬいぐるみの捜索にあたっていた香の目の前に人間のような姿をしたモノが現れた。
人間のような姿、それは両手で大きな剣を持ち、全身が銀色に鈍く光った機械だった。
そしてなによりも特筆すべきはその体を無属性のディーヴァで纏っている事である。
「魔導機兵!?」
香はそれを知識でしか知らない。
その知識では魔導機兵は戦争兵器のはずである。
そんなモノがどうして日本にいるのか、それも何故この場に現れるのか。
頭の中に様々な疑問が浮上してくる。
魔導機兵がそんな香の方へ向いた。
顔の真ん中にカメラのレンズのようなものだけがついている。
映像などで知っている魔導機兵と全く同じである。
香が動けずにいると先に魔導機兵がこちらに向かって走ってきた。
動きは完全に人間のそれである。
「味方な訳ないよね……」
そう呟きながら全身に無属性のディーヴァを纏いながら前方に術式を展開する香。
幸い周りに人がいないため威力を抑える必要もない。
「我が求むるに出でよ!」
香が詠唱すると術式から水の蛇が現れる。
今回香は詠唱を短めにし、蛇を昨日のよりも一回り小柄にした。
周りの建物に対する配慮だ。
「行けっ」
香は蛇に命令する。
ガッ!!!!!!
という音を出しながら蛇が魔導機兵目掛けて自らの頭部を思い切り叩きつけた。
勝負あった、香はそう思い術式を解除して捜索を再開するために動きだそうとしたその時ーー
シュッ、という音と共に香に斬撃が襲う。
「っ!?」
不意の攻撃にも関わらず綺麗に避けた香だが焦りの色は隠せない。
香の目線の先には香の攻撃を受け行動不能となったはずの魔導機兵がいた。
体には傷一つ付いてなかった。
「頑丈な素材で出来ているとは聞いてたけれど……」
知識でしか魔導機兵を知らない香にとって魔導機兵がここまでの強度とは思っていなかった。
無属性のディーヴァによる身体強化のような効果も働いているのかもしれない。
香は対策を考える。
しかしいくら考えても香のマギは打撃系のため、魔導機兵に対して有効な手段は見当たらない。
その間にも魔導機兵が香に接近して上から大剣を振り下ろしてくる。
香はそれを最小限の動きで避け胴体に無属性のディーヴァを纏った全力の右ストレートを放つ。
ドンッ! と鈍い音がして魔導機兵が数メートル後退するが相変わらずの無傷。
元々肉弾戦をしない香の拳では傷一つ付けられない。
「どうしよう……」
香は一人溜息をついた。




