第一章ー40
「これで全部かな」
「だと良いですけど……」
一夜の言葉に隣にいた光が反応した。
二人は夢がぬいぐるみを見つけた広場にいた。
三十分程前に闘技場付近でぬいぐるみを新たに一つ発見したという報告以後新しい連絡は無い。
今現在に見つかったぬいぐるみ、および術式装置の数は合計で三十二個である。
闘技場付近はあらかた捜索したためこれ以上ぬいぐるみが隠されていたとしてもせいぜい一個や二個程度だろう。
夢が早く気付いてくれた事が迅速な行動に繋がった。
「これからどうします?」
「そうだね……」
一夜は少し考える。
今現在闘技場付近には世界警察の人間が一夜と光を除き二十人いる。
一夜はそれ以外の者を日本の各地に数名ずつ配置し、残りは日本支部で待機するよう指示している。
人手不足は否めない。
それでも一夜は自分が思うこの状況で最も的確な指示を出す。
「取り敢えず十人をそのまま術式装置の捜索を続けさせて、残りの五人は爆弾魔、もしくは不審者らしき者を見つけるように、もう五人は試合が終わり次第速やかに闘技場の外へ観客を誘導するように連絡してくれるかな? それぞれの役割分担は光に任せる」
「分かりました」
光はそれだけ答えるとすぐさま携帯を取り出し数人に一夜の指示を一言一句間違えること無く伝えていた。
光が連絡しているのを横目で見ながら一夜は別の事を考えていた。
(これはもう目的の一つは果たせそうにないね)
一夜がそもそも五月祭を催したのには優秀な人材を見つけるのともう一つ目的があった。
しかし爆弾魔の件で世界警察のほとんどの人間を動員してしまっているため他の事をする余裕はない。
(まあそんな上手くいくものじゃないか……)
はあ、と一夜は溜息をついていると
「え!? 分かりました。急遽全員それの対処にあたって下さい。私達もすぐに向かいます」
と光が何やら慌てた様子で電話を切った。
何事かと一夜は光に事情を聞く。
「どうしたの?」
「魔導機兵が現れたそうです……」
「なに?」
「ウィザードのみを狙うよう指令されているようです」
一夜は少しだけ驚いた。
魔導機兵が出てくる事にではない。
爆弾魔の裏に控えている存在を踏まえるとそれくらいは全然あり得る事だからだ。
一夜が驚いたのはそれが今日である事だった。
明日の方がより準備を万全に出来たはずである。
(もしかしてこちらがそうさせてしまったのかな……)
どうやら今は爆弾魔の事だけしか考えてはいけないようだ。
「急ごうか、光」
「はい!」
そう言いながら二人は闘技場の方へ向かった。
今回はかなり短めになりました。
なので明日にもう一度投稿させてもらいます。




