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統べる者  作者: 八坂カロン
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第一章ー33

「先手は頂きますよ!」


試合早々、葉月が無属性のディーヴァを纏いながら貴人に迫って来る。

貴人も無属性のディーヴァを纏いそれに応戦する。


「はぁ!」


マギを発動させないまま葉月は拳を貴人の胴へ放つ。

その一撃を貴人は右手で横にいなしながら左手で葉月の肩目掛けて拳底打ちを入れる。


「はやっ!」


葉月はその速さに声を上げながらも重心を横に傾けることでその攻撃を回避した。

そのまま重心を傾けた時の勢いを殺さなずにその反動で回し蹴りを入れてくる。


「ちっ!」


葉月の追撃に貴人は舌打ちしながらしゃがみ込み、回し蹴りを避けて葉月に反撃を仕掛けようとした時、自分の足元に土属性のディーヴァがある事に気付く。

目の前の葉月も自分の頭上に氷属性のディーヴァが浮遊しているのに気付いたようだ。


氷柱グラソン!」

蟻地獄ありじごく!」


直後、後ろに控えていた二人がマギを発動する。


「やばっ!」

「なんだこれ!?」


葉月と貴人はそれぞれ瞠目する。

葉月の頭上からは針状の無数の氷が、貴人の足元では地面が渦巻く砂に変化して貴人の足を呑み込もうとしていた。


大旋風グランデウェルテクス!」


葉月が右手を上に掲げてマギを発動させると、葉月の右手から渦巻き状の風が生まれ、針状の氷を吹き飛ばす。

しかし予想外に悠奈のマギが広範囲だったのか、葉月は思わず後退していた。

葉月の頬には一筋の血が流れている。


「おいおい……」


一方の貴人は葉月が悠奈のマギに対処させられている間、渦巻く砂にふくらはぎの部分まで呑みこまれていた。


(マギの名称からして動けば逆効果なんだろうなぁ……)


冷静に貴人は考える。


(あんまり雷化らいかは使いたくないんだけど、かと言ってアレ(・・)を使うのは論外だし……。仕方が無いか)


貴人は思考を打ち切り体全体に術式を浮かび上がらせ雷化らいかを発動させる。

貴人達を見守っていた観客はいきなり貴人が発光し、ゴロゴロと音がして稲光が走ったかと思うと、清嗣のマギに足が呑みこまれていたはずの貴人がいつの間にか悠奈の隣に立っていたの見て訳が分からないといった顔をしていた。


「ふう」

「貴人大丈夫?」


隣に戻ってきた自分のペアに悠奈はさして心配していない様子で聞いてくる。


「あぁ、まさか清嗣先輩のマギの発動速度が悠奈と同じくらいだとは思わなかった。葉月もそれくらいだったし」

「そうだね」


貴人が驚愕し、悠奈もそれに相槌を打つ。

貴人のマギの発動速度には触れずに。


「清嗣先輩! あれ何ですか!」


血の流れている頬を手で押さえながら声を上げる葉月。

あの驚愕は悠奈のマギにもだが主に貴人のマギに対するものだろう。


「いま確実に貴人先輩が人間の体じゃなくなってましたよ! しかも無詠唱で術式展開してましたよ!」


貴人のマギは六王家にも驚愕を与えたようだ。


「あ、あぁ」


清嗣も驚いているのが分かる。


「あれで攻撃されたら一度は躱せても二度目は無理ですよ!」


そんな感想を述べる葉月。

清嗣も同様の感想を抱いたのか葉月にある事を提案している。

流石にここからだと距離があり聞こえない。


「それなら接近戦で千凪から叩くのがベストだろう、あの作戦で行くぞ」

「了解っす」


何らかを決めたらしい二人は貴人に向かって走り出した。


「清嗣先輩あんなに速く動けたんだな……」

「感心してる場合じゃないよ……」


見た目とは裏腹に素早い清嗣の動きに感心している貴人に呆れた様子の悠奈。

そんな二人を無視して清嗣と葉月は貴人に肉薄し、清嗣はマギを発動させる。


「纏え!」


清嗣の両手が土で纏われグローブのようになる。


「悠奈は後ろで援護を頼む!」

「了解!」


貴人は一人で清嗣達を迎えうった。


「流石に一人で六王家二人の相手は無理があるぞ!」


清嗣はそう言いながら貴人に向かって拳を振りかぶる。

先程と同じように貴人は拳をいなそうと構える。

しかしーー


「甘い!」


と清嗣は叫びながらその拳を貴人に放つことなく貴人の後ろに回り込もうとしてきた。

少し驚きながらも貴人はそれに対処しようとするが清嗣の後ろから葉月が迫ってきたちめ行動が制限されてしまう。


「じゃじゃーん!」

「ふんっ!」


葉月はニヤニヤ笑いながら貴人の胴目掛けて渾身の右ストレートを放つ。

後ろからは清嗣が貴人に土で覆われた拳の一撃を放ってきている。

どちらかでも直撃すれば気絶は免れない。

雷化を発動する時間もない。

しかし貴人はある事に気付き二人に告げる。



「もしかして二人って馬鹿ですか……?」

「へ?」

「ん?」


貴人の呟きに疑問を感じながら貴人に拳が当たる直前、貴人は下にしゃがみ込んだ。

すると、まるで葉月と清嗣がなぐりあっているような画が完成した。

そしてーー


「うわぁぁぁぁぁ! 先輩やめてぇぇぇぇぇぇ!」

「うおおおおおお!」


ドーーーン!!!!!!!!!


二人の拳がぶつかり合い凄まじい音と衝撃波が観客席を襲った。

そしてそのまま葉月と清嗣はフィールドの端まで飛ばされて二人とも倒れた。

二人とも所々服が破けていてそこには傷がついていた。


「ま、まさか……作戦にこんな穴があるなんて……がくっ」

「作戦ってこれだったのかよ……」


そう言いながら倒れていく葉月に悠奈の所まで戻り、呆れる貴人。


「やるではないか千凪……うっ」


貴人に笑いかけながら清嗣も倒れる。


「もしかして清嗣先輩って馬鹿?」


失礼な事を言う貴人だったがその言葉は本人には聞こえない。


「二人とも一人で戦った事しか無かったんじゃないかな……」

「それに多分威力の高いマギしか使えないから慣れていない肉弾戦か弱いマギしか発動できなかったんだな。まああの拳を二つともモロに受けてたらしゅっけつの騒ぎじゃなかったと思うけど……」


冷静に貴人と悠奈は分析する。

その後に大きな歓声が上がったのは言うまでもない。

倒れている二人を見て貴人は呟く。


「それにしても良いコンビだな二人とも」


色んな意味で、と付け加えながら。


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