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統べる者  作者: 八坂カロン
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第一章ー25

「でかいですね……」

「うん……」


貴人と香は自分達の目の前にびえ立つ立派な建物を眺めながら呟く。


日本の世界維持管理本部

五月祭前日の今日、二人は楓からここへ来るように電話で呼び出されたのだ。

二人とも用件は知らされていない。

悠奈は一人で留守番している。

一緒に行きたがっていた様子だったが快く見送ってくれた。


「取り敢えず入りましょうか」

「そうだね……」


そう言いながら二人は建物に入っていく。

建物の中に入ると二人はその広さに驚く。

だだっ広い空間の真ん中にポツンと受付があるだけだ。

少し進むと奥の方から一人の美しい女性が現れた。

香はその女性を見て大きな声を出した。


「お姉ちゃん!」

「え? 会長、おね……ええ!?」


貴人が二人を見比べて驚く。

あまりにも見た目が似ていないからだ。

貴人が二人を見比べているとその女性が挨拶をする。


「こんにちは、千凪貴人君。私は九十九光。香の姉よ」

「あ、どうも……千凪貴人です」


貴人は光に向き直る。


「今日何で私たちが呼ばれたの?」


香が問う。


「それは後で話すわ。取り敢えず移動しましょう」


そう言いながら光は二人に背を向け歩き出す。


「会長にお姉さんがいたなんて初耳ですよ。それにこんな所で働いてるなんて」


貴人が香にひそひそ話す。

ここまで似ていないのも珍しい。


「まああんまり言ってないからねー」

「それに会長とキャラクターが全然違いますね。お姉さんはあんな感じなのに会長は……」

「それどういう意味よー?」

「いや、別に……」


エレベーターに乗りながら二人は会話する。

二人のやりとりを聞いていたのか光が口を開く。


「ふふっ、香は相変わらずね」

「もーお姉ちゃんもそれどういう意味なの〜?」

「別に?」


貴人と同じような反応を返す光。

仲が良いんだな、と貴人は思う。

五階に到着し、しばらく歩いていると一つのドアの前で光が立ち止まる。


「ここよ、他に呼んだ人はもう全員到着してるから」


そう言いながら光がドアを開くと、そこには長い長方形の机の周りに何人かの人物が座っていた。


「これで全員かい?」


ドアの手前側に座っていた赤髪で目つきの悪い男が鬱陶しげに光に尋ねる。

その男の隣には同じく赤髪で目つきはどこか頼りなさげな感じの男が座っていた。


「ええ、待たせてしまったわね」

「ったくよぉ、このエリートの俺様を待たせるんじゃねえよテメエら」

「や、やめて下さい」


そう言いながら男は貴人と香を睨みつけてくる。

それを隣の男が必死に諌めようとしていた。


「会長どこ座ります?」

「じゃあ一番奥の方にしよう」


その男を無視して二人は自分達が座る場所へ移動する。

ああいうのには無視が一番だと貴人は考えている。


「無視すんじゃねえよクソどもが!」


その行動がその男の気に触れたらしく声を荒げる。

そこに


「うるさいわ。黙ってくれるかしら?」


凛とした女性の声がして、男は渋々引き下がる。

青色の髪をポニーテールにし、楓とはまた違う凛々しさ漂う美少女だ。

その隣には茶髪でがっしりとした体型の男が腕組みをしながら目をつむっていた。

貴人はその女性に礼をする。


「あ、どうも」

「礼などいらないわ」

「もしかして水月家の人ですか?」


貴人が尋ねると、周りが一斉に貴人を見る。

光も例外ではない。

そんな可笑しい事だったのだろうか。


「え? 貴人君何で疑問形なの?」

「何かまずかったですか?」


本当に自分がここまで注目を浴びているのか分からない貴人。


「去年の神無月祭で顔を見たでしょう?」

「あー俺実は神無月祭見てないんですよ」


以前にもした下りを話す貴人。


「まじかよ……」

「これはびっくりだね……」

「面白い」


赤髪の男たちと茶髪の男はそれぞれの反応を示す。


「はははははは、まさか私が知られていなかったとは驚きだよ」


女は貴人の言葉を聞いて笑い出した。


「君の質問に答えるわ。そう、私が聖高校三年、水月夢すいげつゆめよ。君の名も聞かせて」

「俺の名前は千凪貴人です。夢ノ丘高校二年です」


互いの自己紹介を終える。


「よろしくね貴人。私の事は夢でいいわ」

「じゃあ夢先輩で」

「ところで貴人は私の事を知らなかったのになんで水月家だと分かったの?」

「未来と似てますからね、雰囲気が」


この言葉を聞き夢は大きな声を上げる。


「あぁ! 君が妹に指導してくれた人ね? 学校に優しい先輩が居るってあの子言ってたから」

「まあ一応」

「やっぱり! あの子最近とても楽しそうにしてるのよ。ありがとう貴人」

「いえいえ、こちらも楽しいですから」


などと貴人と夢が会話しているとドアから新たな人物が入ってくる。

瞬間、全員の視線がその人物に釘付けにされる。

白髪の俳優のような容姿のせいではない。

その内に秘めた得体の知れないモノを全員が感じ取ったからだ。


「こんにちは。僕が今回君達を招集した者だ。来てくれて本当にありがとう」

「お、おいそこのアンタ、こいつは何もんだよ」


先程貴人に突っかかって来た赤髪の男が全身に緊張を走らせた様子で光に問う。

その問いに光ではなく本人が少し笑いながら名乗る。


「おっと、先に名乗るべきだったね。僕は……私は世界警察日本支部のトップ」

「トップって……まさか」


香が途中まで聞いて驚いた様子で声をだしてしまう。

男はそれを気にすること無く言い続ける。


空雅院一夜くうがいんいちや、二つ名は皇帝エンペラーだ」


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