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統べる者  作者: 八坂カロン
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第一章ー20

予選トーナメント三日目、貴人は第一試合に出場するため、悠奈、津々良、未来の三人は観客席で座っていた。

貴人の第一試合の相手は阿澄である。

そのため一番良い席を確保したのだが何故か悠奈達の周りの席には誰も座ろうとしない。


「何でなんだろう?皆に見られてる感じもするんだけど……」


悠奈が不思議に思っていると、悠奈達には聞こえない位の声で周りが話す。


「おい、氷上さん達がいるぞ。あの男はどうしんだ」

「あそこのツインテールの子、近くで見ると滅茶苦茶かわいいじゃん」

「俺はあのショートカットの子が好みだわ」

「それにしても氷上さんは神々しいな」


三人の美少女が揃っているため皆近づけないのだ。

そんなこと悠奈達は露も知らない。


「よぉ、氷上達」


そんな中、愛斗が悠奈達に話しかけてくる。

後ろには海と寧々もいた。

香と阿澄は出場選手のためここにはいないようだ。


「氷上達三人のおかげで良い席に座れそうだ」

「す、凄いね……」

「隣失礼するぜー」


三人はそう言いながら悠奈達の隣に腰を下ろす。


「なんで私たちの所だけ誰も座らなかったんですかね?良い席なのに……」

「オーラってやつだな」

「オーラ?」

「まあ気にすんな。そんな事よりそろそろ師匠と副会長のお出ましだぜ?」


愛斗は津々良を促す。

津々良が視線をフィールドに向けると貴人と阿澄が入場していた。


「彼女無しでも頑張れよ!」

「リア充は土に還れ!」

「千凪君頑張って〜!」

「副会長かわいー!」

「副会長がんばってください!」

「リア充をやっつけて下さい!」


色々な声援を受ける貴人と阿澄。

それに応えて貴人達は手を振る。

悠奈達も貴人達に声援をおくる。


「初戦からレベルが高い試合だな」

「こ、個人戦だからね……」


愛斗と海が会話する。

個人戦はAクラスやBクラスの生徒の出場が殆どであるため、見応えのある試合ばかりである。

そしてアナウンスがあり試合が始まった。


ーーーー


フィールドでは貴人と阿澄が対峙していた。

貴人は片手に木刀を持っている。

開始早々、貴人と阿澄は無属性のディーヴァを纏う。


氷の鉤爪(アイスクロー)!」


阿澄は両手を氷の鉤爪かぎづめで纏い、貴人に肉薄する。


「はぁ!」


右手を貴人に振り下ろす阿澄。


「ふっ!」


貴人は左手に持っていた木刀でそれを防ぐ。

続いて阿澄が左手を貴人の横腹目掛けて放つが、貴人はそれを右手に持っていた木刀でいなす。

しばらくそんな攻防が続くが、途中で貴人から距離をとる阿澄。


「やっぱり接近戦じゃ相手にならないわね……」


接近戦を諦めたのか阿澄はそう言いながら氷属性のディーヴァを両腕に纏う。


「術式は展開させませんよ?」

「そんなの最初から諦めてるわよ……」


貴人にからかわれながらも阿澄は両腕を前方に突き出しながらマギを発動する。


氷の弾丸(アイスバレット)!」


阿澄の両腕から氷の塊が射出される。


「でかっ!」


それを両手の木刀で軌道を逸らして躱す貴人。


ーーーー


「悠奈先輩と同じマギですね!」


観客席に居た津々良が言う。

そこに悠奈が答える。


「少し違うよ。私の氷雨プリュイグラースはあれより一回り小さいし、どちらかと言うと切り裂く感じだけど、副会長のは一つ一つが大きくて切り裂くというより押し潰すかんじのマギね。それぞれのメリット、デメリットがあるね」

「どんなですか?」

「私の氷雨プリュイグラースのメリットは広範囲に攻撃出来る事と、球の速さが大きい事だけど一発一発の威力は高くないの。逆に副会長の方は広範囲にも、球の速さ的にも私のより劣るけど、その分一発一発の威力は物凄く高いね」

「なるほどー、それじゃあ師匠はどうやって戦うんでしょう」

「まあ、近接戦に持っていくしか無い感じだね」


悠奈の言葉に新たな疑問が沸いた様子の津々良。


「そう言えばなんで師匠ってマギを使わないんですか?私師匠のマギを見たこと無いんです」

「あー……何となく予選では使いたくないって言ってたよ」

「は?」

「な、何となくって……」

「はぁ!?そんな理由であいつ私と海の試合の時、マギを使わなかったのかよ!?」

「まぁ、使わなくても、負けたんだけどね……僕達……」

「ハハ、貴人らしいな」


悠奈の言葉に周りは様々な反応を示す。


(まあ他にも理由はあるんだけどね……)


心の中でそう呟く悠奈だがもちろん顔には出さない。


「まあ今は試合を見ましょう!」


津々良が話を終わらせ、全員の視線をフィールドに戻した。


ーーーー


「はあ、はあ」


フィールドでは阿澄が額にうっすらと汗を流しながら、肩で息をしていた。


「ほんとうに……すばしっこいわね……」

「最近はずっと躱す事しかしませんでしたから」

「降参するわ。もうディーヴァが残って無いわよ……」


呆気なく阿澄が降参する。

これで貴人の勝利となった。

しかし、この時貴人が浮かない顔をしていたのを悠奈は見逃していなかった。


ーーーー


試合が順調に進み、決勝戦を迎える。

決勝の組み合わせは貴人と香だ。

お互いノーダメージで勝ち進んで来た。

観客席では阿澄も交えて話をしていた。


「いよいよですね!」

「ど、どっちが勝つんだろう……」

「やっぱり貴人が有利じゃないっすか?術式破壊もあるし」

「ど、どうだろう……会長の術式展開はちょっと特別だからわからないよ?」

「彼がどれだけ速く術式破壊できるか、ね」

「会長の術式ってどんなんなんだ?海」


そんな時、貴人と香が入場してくる。

どちらもアームズは所持していない。


「「うおおおおおおおお!!!!!!」」


観客席がこの三日間で一番の盛り上がりを見せる。

その声援を受ける二人が向かい合う。


「いよいよだね! 貴人君」

「会長と戦えるのを楽しみに待ってましたよ」

「た、楽しみだなんてっ……照れるなぁ」

「はいはい」

「いっつも貴人君はそうやって誤魔化すよね……」

「誤魔化すも何もないでしょう?」

「それもそうだね! 」


はは〜、と笑う香と溜息をつく貴人。

そして試合が始まった。

二人は無属性のディーヴァを纏う。


「最初から全力で行くよ!」


香はそう言いながら貴人に近づく。


「術式展開!」

「なっ!?」


香から円状の幾何学模様の術式が展開される。

香の行動に驚く貴人。

香が術式を展開したことに対するものでもあるが、それ以上に、貴人は香が展開した術式の数に驚く。

香の右と左の両サイドに水属性の術式を一つずつ、なんと二つの術式を一度に展開させたのだ。


「流石ですね……!」

一つは壊せるがそのために近づいてしまったら、もう片方の術式を発動されて直撃してしまう、そう考え貴人は香から距離をとる。


「出でよ!」


香がマギを発動させる。

香の両サイドの術式から水で出来た巨大な体が出現する。

そしてそれは巨大な蛇の形を表した。


「でけぇ……縦七メートル横一メートルくらいあるじゃねえか……」


貴人は二匹の水蛇を見る。

キシャァァと鳴きながらこちらを貴人を睨む。


「さあ貴人君、行くよ?」

「やばいなこれは……どうしよう」


冷や汗を流しながら貴人は呟いた。


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