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また創作編 あんまり思い出したくない漫研

 大学生になり、私は、やはりというか、漫画研究会に入った。

 他のサークルには目もくれなかった。

 しかし、必ずしも楽しいことばかりではなかった。


 まず、同級生と先輩と、ほとんどの部員とそりが合わない。

 後輩ができてからは多少ましになったが、あまり居心地のいい空間とは言えなかった。

 また、漫研だから絵が描けなくてはならないということは当然ないのだが、私がいたころのこのサークルは、なぜか「描かない人の方が威張っていて、描く人は『描かせてもらっている』状態」だった。これも後輩の世代からは変わっていったようなのだが。

 もちろん描く人間の方が偉いなどということはなく、そもそも絵が描けるかどうかでサークル内に上下関係などできる方がおかしい。


 漫研には発行物として部誌というものがあるのだが、本の形態である以上、表紙が必要になる。

 私の時代には、これは絵を描かない、描きたくもない人達が「絵が描きたいという人間に、そこまでいうなら描かせてやる」ものだった。

 屈辱的ではあったのだが、私も当時は場数を踏みたい一心で「描かせてもらった」。

 口はばったいようだが、当時の部内で最も積極的に活動していたのは私だったと思う。

 部誌には毎回一定以上のページ数のストーリー漫画を上げていたし、文化祭で行なうイラスト展示会は、実にサークルの総出展数の実に半分が私のイラストだったこともある。

 しかしこの、「描きたがりの見せたがり」というのが他の部員は面白くないらしく(なぜか分からないのだが)、「部誌やイラスト展を私物化している」と苦言を呈されたこともある。


「君がいると、寡作の部員や描かない人達が息苦しくなる」

 そう言われた時、本当にそれがサークルの総意なら、自分の活動の場所を考えなくてはならないと思った。

 創作系の漫画サークルで、なぜ創りたがるほどに阻害されるのかはいまいち納得がいかなかったが、この頃にはけっこう嫌がらせもエスカレートしていたので、あまり未練はなかった。


 こんなことがあった。

 私がある回の部誌の表紙を描くことになり、私は気合いを入れて一枚のイラストボードを描き上げた。

 この回はコピー本になる予定だったため、私は普段から折り合いの悪かったある同級生部員と、カラープリントを行なうために学校の外へ出た。

 なお、印刷場所はコンビニのカラーコピー機である。

 そしていざ印刷にかかろうとした時、その部員から待ったがかかった。

「悪いが、クナリくんの表紙を使うわけにはいかない」

「へ?」

「ここに、俺が後輩部員に描かせたカラーイラストがある。今回はこれを表紙にする」

 彼がこういう時はたいてい先輩たちの了承をすでに取り付けてある状態だったし、後輩の活躍の場を奪うのもなんだしな、ということで私はそれを受け入れた。

 頑張って自分の絵を押し通すほどの愛着が、部にはもうなかったためもある。

 私は自分でもHPを持っていたので、そこに飾れば無駄にもならない。

 あまりにも舐められ切っていることは腹立たしかったものの、だからこそ「お願いですから使ってください」などとは言いたくなかった。

 コピーが終わって部室に戻ると、後輩たちはすでに事情を知っていた。

「まあ、自分のHPに置くから、描いた絵が無駄にはならないしいいよ」

 そう言う私に、後輩の一人がおずおずと伝えた。

「そういうところだって言ってました」

「ん?」


「先輩たちが、『クナリ先輩は自分の描いた絵を自分のHPに飾るようなことをするから、表紙は描いてもいいけど使ってはあげない』と」


 分からぬ。

 何がいけないのかが。

 まあ、使い回しのように思われたのかもしれない。

 そもそも「描いてもいいが使わない」とはこれいかに。


 これ以外にも

「クナリくんのように、絵をたくさん描いては人に見せたがるような人の作品を出展すると、部の品位が下がる」

など、やたらと高潔というか、一風変わったストイックな価値観をもった部員が先輩と同級生には多く、私は部の中でかなり浮いていた。

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