↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
45/66

第四十五話:Fクラス

 前にいた騎士学校にも張られていたけれど、この魔法学校の訓練場には、更に強力で特殊な結界が張られている。


 どんな強力な魔法を受けても絶対に死ぬことはなく、手足が吹き飛ぶような怪我をしても、模擬戦終了のブザーが鳴るか訓練場の外に出れば、元の体に修復されるのだ。


 ……けれど、「本当に死ぬんじゃないか」というほどの凄まじい痛みだけは本物で、傷が治っても痛みはしばらく体に残る。

 それによる心のダメージは結界でも回復できないため、心が折れて学校を辞めてしまう生徒もそれなりにいるそうだ。


 人数が減りすぎるとクラスの人数調整が入るらしいけど、万年最下位のこのFクラスが残っているということは、彼らはこれまでも痛みに耐えながら必死に学校にしがみついていたんだろう。


「ひぃぃぃっ!」

 まもなくBクラスの放った巨大な炎が着弾する。少しでも痛みを堪えようと、クラスメイトたちは頭を抱え、薄っぺらい防御魔法を重ねてうずくまっていた。

 僕は小さくため息をつくと、大剣を抜き放ち、迫り来る巨大な魔法に合わせて一閃した。


 パァァァンッ!


 それだけで、Bクラスの十人分の魔法は跡形もなく霧散して消えた。

 いつまで経っても痛みが来ないことに気づき、クラスメイトたちがそっと目を開け始める。


「今です。チャンスですよ、相手に攻撃してください!」

 僕が声をかけると、彼らは首をブンブンと横に振った。


「バ、バカ言ってんじゃねえ! 俺たちの攻撃が上級クラスに通るわけないだろ!」

 そう言って、彼らは反撃するどころか、さらに防御魔法を重ねて震え始めた。


「守るだけでは相手に勝てませんよ?」

 僕の言葉に返事はない。一方のBクラスの面々も、ようやく自分たちの魔法がかき消されたという現実を理解したようだ。


「あ、あの平民……何か特別な魔導具を使ってるに違いない! 強力な魔導具ならクールタイムがあるはずだ。連続する波状攻撃で押し切れ!」

 リーダー格のボリスが叫ぶ。


「へー」

 特別な魔導具ねぇ、このレベルの魔法ならガントレットでも良かったか。

 僕が呑気に感想を漏らす後ろで、クラスメイトたちは再びダンゴムシのように丸くなってしまった。余程これまで、上位クラスの連中に痛めつけられてトラウマを植え付けられてきたのだろう。


 僕は少しだけBクラスにに対しイラッとして、Bクラスのリーダー、ボリスに向かって言った。

「なら、君たちも痛めつけられる覚悟があるんだよね?」


「あははははっ! 底辺のゴミが何を言ってる!」

 Bクラスの生徒たちが吹き出して笑う。ここまでFクラスは蔑まされなきゃダメなのか、と僕は大剣を構え直した。


 次々と着弾する彼らの魔法は、僕にとっては大した攻撃じゃなかった。

 大剣の腹で軽く弾き、風圧で散らしていく。


 やっぱり、父さんや母さんの魔法に比べたら、異常なほど遅くて軽いな……

 二人による地獄の特訓を思い出して、僕は思わず戦いの中でクスッと笑ってしまった。


 その余裕の笑みを見た瞬間、Bクラスの生徒たちの顔色が変わった。


「あいつ、笑いやがった……! Aクラスの連中と同じように僕たちを見下しやがって!! 立場ってやつを分からせてやる! 最大火力の魔法をお見舞いしてやれ!!」

 Aクラスへの劣等感を刺激された彼らは激昂し、全員で杖を構えた。


「あ、あわわ……ついに終わった……」

 背後のクラスメイトたちが完全に絶望する。


「あー、その魔法かー」

 僕は相手の陣形と練り上げられる魔力を見て、魔法の軌道を完全に予測した。

 着弾するその瞬間。僕は大剣から左手を離してクルリと回転し、左腕の『銀のガントレット』を魔法の塊に思い切り打ち付けた。


 キイィィィンッ!!

 ガントレットの特殊な反発力と僕の魔力が同調し、彼らの最大魔法は威力を増して、そのままBクラスの陣地へと帰って行く。


「え? え??」

 自分たちの魔法が跳ね返ってくるなど想像もしていなかった彼らは、全く反応できない。


 ドッガァァァァンッ!!


 リーダーのボリスだけが咄嗟に横へダイブして回避したが、それ以外の九人の生徒は直撃を受け、黒焦げになって倒れ伏した。


「ば、馬鹿な……くそ!運悪くガントレットで弾かれた魔法が跳ね返ってきただけだ! 幸運は二度は続かないぞ!」

 ボリスは現実を理解できず、血走った目で立ち上がり、再び僕に向けて魔法を放とうとする。


「遅いよ」

 僕は神速の踏み込みで一気に間合いを詰めると、放たれた魔法ごと、ボリスの胴体を大剣で真っ二つに両断した。


 ビーーーーーッ!!


 その瞬間、訓練場に模擬戦終了のブザーが鳴り響いた。

 真っ二つに斬られたボリスの胴体や、黒焦げになったBクラスの生徒たちの姿が、結界の力で少しずつ修復されていく。しかし、彼らは本物の死の痛みに白目を剥き、泡を吹いて痙攣していた。


「お、お前……一体何なんだよ……っ」

 背後で見ていたFクラスのクラスメイトたちが、腰を抜かしたまま驚愕の声を漏らす。

 その後、気絶したBクラスの面々は、すぐさま医務室へと運ばれていった。

◆◆◆◇◇◇◆◆◆


 読んでいただきありがとうございます。


 少しでも面白かったと思っていただけたら、ブックマークや評価を頂けると嬉しいです。

 皆様の応援が、モチベーションアップの原動力となります。


 毎日22時頃に更新予定です。よろしくお願いします!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。