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21 王都での初仕事

「今日はどうしようか」


 次の日の朝、隣のレストランで食事を取りながら話す。

 レティには野菜たっぷりのサンドイッチと豆やお肉なんかが入ったスープ。わたしにはデッカいお肉の丸焼きだ。美味い。


「うーん。お仕事行く?」

「そうね…まずは依頼を受けてみて、問題なかったら後日お買い物でも行きましょうね」

「うん」


 王都の依頼がどんなのかわからないから、レティでも問題なく受けられるものかちゃんと確認しておこう。お金使いました、受けられる依頼がありませんじゃ、困るからね。



 朝の冒険者ギルドはやはり混んでいる。

 まあ、無理矢理行きますけど。

 FランクとEランクの依頼ボードを見る。

 うーん。ゴブリン、ウルフ、薬草採取…セラの街で受けてた依頼と大差ないわね。もう少しお金になりそうなものないかしら。

 あ、オークの依頼があるわね。でも、Eランクパーティ推奨…受けられるのかしらこれ。

 オークって戦ったことないのよね。試してみたいわ。

 まあ、いたら狩ればいいかしら。とりあえず、いつも通りの依頼を受けましょう。




 薬草採取とウルフの討伐を受けて、王都を出る。

 向かうは東だ。そっちに川が流れているらしく、その付近に薬草があるらしい。


「じゃあ行きましょう」

「うん」


 いつものようにレティを背に乗せて向かう。




「綺麗な川ね」


 たどり着いた川は底が見えるくらいには綺麗だ。流れは穏やかだが、少し深さがある。レティが入ると太ももくらいまで浸かるかも。

 それと、


「結構いるね」


 わたし達以外にも薬草採取に来ている冒険者がいる。

 まあ、大体がレティとあまり大差ない年の子たちみたいだけど。

 わたしを見て驚いていたり怖がっていたりするけど、レティがいるのに気づくと落ち着いてくれる。


「でも、この辺だけね。上流の方にはあまりいなさそう」


 どうやら上に行くと木や草が増えてくるようで、魔物の危険があるみたいだ。

 この辺は子供冒険者の薬草採取の場所なのか、大人はほぼいないし、薬草も少ない。


「もう少し上に行ってみようよ」

「そうね。そうしましょう」


 レティは子供だけど、わたしがいるし、レティ自身も魔法が使える。

 魔物に怯える必要はない。




「どう? ありそう?」

「うん。この辺ならあるみたい」


 だいぶ上流まで上って来ると、木や草が増えてきた。林って言うくらいがちょうどいいかね。

 レティが鑑定を使って辺りを見渡す。

 川は少し狭くなり、少し浅くなったが、その分流れが速くなったように思う。

 川底にも草が生えているみたいだけど、あれもそうなのかな。


「川底の草も薬草だったりするの?」

「うん。薬草もあるみたい」


 入って取ってくる必要があるかしら。でも、レティには少し危ないかも。

 周辺に人はいないし、ヒト型になって取ってこようかな?


「どれがそう? わたしが取ってくるわ」

「だいじょうぶ?」

「平気平気」

「じゃあ、あそこにあるやつと、あれもそう」

「わかったわ」


 念のためもう一度周囲の確認をして、そのままの姿で川に入る。流れが速いから念のためね。

 薬草まで近づいてからヒト型になる。相変わらず裸だけど、濡れるから別にいいだろう。

 すると。


「冷たぁぁぁい!」

「だからだいじょうぶって聞いたのに…」


 今寒い季節だって忘れてた…。毛皮はあったかいんだよぅ。


 冷たいのを我慢しながらなんとか回収して、岸に上がり元の姿に戻る。

 うう、寒かった。火にでもあたりたいわ。


「寒いレティ~」

「もう…林から出て焚き火でもしよっか」

「賛成!」


 草や木の枝を拾いながら森から出る。

 魔道具で火をつけ、暖を取る。手慣れた動作だ。


「ふあ~」

「お昼には早いけど、何か食べる?」

「うーん。ウルフでもいればよかったんだけど」

「近くにいないの?」

「いなくもないけど、動きたくない」

「シュガー…」


 レティが呆れた顔をしている。だって寒いんだもん…。


「運動すれば暖まるんじゃない?」

「むぅ…わかったわ。ちょっと取ってくるから、動いちゃダメよ」

「わかった」


 速攻で狩ってきましょう。



 ウルフを一匹あっさり狩ったところで、音を拾う。

 二足歩行だけど、重そうな足音。ゴブリンではないし、ヒトでもなさそうね。


「ん~、できればすぐにレティのところに帰りたかったんだけどねぇ」


 こっちに来てるなあ。放っておくとレティの方まで来ちゃうねコイツ。


「レティは…変化なしかな。近くにも音はなし。うん。一分で戻りましょう」


 わたしは獲物の方へ走り出した。


 音の発生源を見つける。予想通り、あれはオークね。

 狩ってみたいと思ってたから、ちょうどいいわ。

 成人男性くらいの大きさの、豚のような顔をした醜い生き物。ただ、ちょっとめんどうね。

 どうして武器なんて持ってるのかしら。

 冒険者から奪ったとか? 簡易的な槍のようなものだけど、あのリーチはめんどうかも。

 まあ、なんとかなるでしょ。ここはそんなに密集してないから、スキルも自由に使えそうだし。


 さあ、狩りをしましょう。



 オークの前に姿を現す。わたしを見たオークは、醜い顔でニヤリと笑い、槍を構える。

 ドスドスとオークが迫りながら、槍を振り下ろす。

 まあ、避けるくらいわけない。左に避け、爪で切り裂く。

 案外硬くない。真っ二つは無理でも、傷はちゃんとついた。

 傷つきながらも槍を振り回してくるのを、飛ぶように避けながら後ろに下がる。


「ストーンバレット」


 狩りで魔法はあまり使わないが、せっかく距離を取ったので使う。

 レベル2の土魔法だ。石の礫をぶつける魔法だけど、威力が微妙なのよね。痛そうっちゃ痛そうだけど、目くらましみたいなものだ。


 受けながらも槍を振り回すのはすごいね。ただもう時間もないので、スキルで決めることにした。

 もう、サイズ変更に関しては、自由自在だ。

 槍を避けるために身体を小さくするのも、その爪を鋭くして、槍を持っている右手を切り落とすのも、簡単だ。


 ああでも、必殺技とかほしいわよねー。


 なんて思いながら、オークの首を切り落とした。





「運ぶほうが面倒くさいわね」


 落とした腕と首も持ってくべきかしら。途中でウルフも拾っていかないとね。




「レティ、何もなかった?」

「シュガー遅かった、ね…。なにそれ」


 わたしが持ってきたオークの死骸を見ながら呆れたように問うレティ。


「オークがいたから」

「これがオークかぁ…ホントだ」


 鑑定したらしいレティが納得する。


「解体できる?」

「一応、本で解体の仕方は見たからできる…と、思う」


 セラの街で資料室を利用した際に、魔物の解体の仕方も勉強していたのだ。冒険者である以上、解体ってどうしたって避けようがないからね。


「まあ、なんとかなるわよ。とりあえず、解体してお昼にしましょう」

「うん」



 解体して、お昼を済ませ、午後はまた薬草採取だ。

 でも、もう川には入らない。寒いから。

 レティが薬草採取しているときは、やっぱり狩りをしている方がいいね。

 さすがにもうオークはいないけど、ウルフとかゴブリンとかがいるのでそれを狩る。

 この辺り、ゴブリンアーチャーなどの上位種が出てくることがあるので、真っ先に狩ってる。

 流れ矢がレティに当たったらと思うと怖いからね。





 そろそろ夕方なので、王都へ帰る途中だ。

 相変わらず門前には人が多く並んでいるが、実は依頼に出た冒険者専用の入り口があるのだ。

 まあ、いちいちあれに並ばないといけないとか、冒険者は王都から出て行くよね。わたしも嫌だわ。

 なので、わたし達は列に並ばずにそこからスルリと入って行く。もちろん門番がギルドカードをチェックするけど。




 冒険者ギルドで薬草と素材の納品をし、オークも出したところ、受付嬢が驚いた。


「オークを討伐したんですか」

「シュガーが見つけて狩ってきた」

「さすがですね」


 Eランクパーティ推奨の依頼だったからね。Fランクの子供とその従魔が討伐してくるとは思ってなかったみたいだ。

 あのオークははぐれオークだったらしく、一匹だけが確認されていたそうだ。これが群れだったらDランクの依頼だっただろうな。


「レティシアさん、少々お話があるのですが、お時間よろしいでしょうか」


 受付嬢がいきなりそんなことを言ってきた。

 え、何。


「ギルドマスターがお呼びです」


 うわー。

 偉い人に呼ばれるって、大体面倒ごとの予感だけど…。

 レティがこっちを見て困った顔してる。でも、行かないわけにはね…。ギルドと敵対なんてできないし。

 仕方ないので頷いた。


「わかった」

「それではこちらへどうぞ」


 どうやらこの受付嬢が案内してくれるようだ。受付嬢は他のギルド職員に声をかけて席を立つ。


「私はイルゼラと申します。よろしくお願いしますね」



閲覧ありがとうございます。

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