22 ギルドマスター
ちょっとキリが悪くなったんですけど、繋げると長くなったのでやめました。
イルゼラさんについて奥に向かう。
「何の用なの?」
レティが前を歩くイルゼラさんに話しかける。
イルゼラさんは振り向いてニコリと笑う。
「ギルマスはそちらの従魔に興味があるそうですよ」
「シュガーはあげないよ?」
レティがちょっと怒ってる。わたしのために怒ってる! 嬉しい!
「もちろん、そんなつもりはありませんよ。まあ、あとは本人に聞いてみてください」
うーん、どうしよう。わたしのことを聞かれたら困るな。いやたぶん聞かれるんだろうけど。
レティに小声で伝えておこう。
しばらく歩いて、ドアの前で止まる。
「こちらです」
イルゼラさんがドアをノックする。
「ギルマス、レティシアさんをお連れしました」
「入れ」
低い男の声がドアの向こうからした。
それを聞いてイルゼラさんがドアを開け、入る。わたし達もそれに続く。
「よく来たな。呼び立ててすまない。俺が王都の冒険者ギルドのギルドマスター、バーナードだ」
「レティシアとシュガー」
ギルマスはわたしたちの姿…特にわたしの姿をジロジロと見ている。
ホントに興味とかそういう話で呼び出したのかしら…?
「何?」
「ああいや、お前さんが連れているのは本当にヴァイスフックスなのか?」
「うん」
「そ、そうか…」
なんだろう、なんか、こう、気持ち悪いな。
レティもなんか嫌そうな顔してる。
それを見たイルゼラさんがギルマスに注意する。
「ギルマス、気持ち悪がられていますよ」
「き、気持ち悪い…すまなかった」
気持ち悪いにショック受けてたけど、否定はしない。
「ええっとだな。お前さんとその従魔について、いろいろ聞きたいことがあるんだが、いいか?」
「内容によるけど」
「とりあえず、答えられそうなのは答えてくれ」
そうして、ギルマスの質問攻めが始まった。
「出身はルテラの森のエルフの村か?」
「うん」
レティの出身の話や。
「ヴァイスフックスに出会ったのは?」
「…」
わたしとの出会いの話を聞きたいらしい。
だが、レティはどこまで話していいのか悩んでいるようで、わたしの顔を見上げてくる。
うーん。どこまで話していいだろう。
そしてそれをどうやってレティに伝えようか。
ギルマスやイルゼラさんとの距離が近いため、小声で話してもわたしの声が聞こえそうなのよね。
仕方ない、さっきレティに頼んでおいたことを聞いてもらおう。
わたしはレティに合図を送る。
レティは頷いて、話し出す。
「なんで聞きたいのか教えてくれないと話さない」
「…そうだな、まずは信用してもらわないとな」
まあ、向こうもいきなり根掘り葉掘り聞いて教えてくれるとは思ってなかったみたいだ。
「理由はいくつかある。まず、お前さんが連れているヴァイスフックス、こいつはかなり希少な魔物だ。知っているやつが見ればわかるだろうし、欲しがるやつもいるだろう」
そう、わたしの種族であるヴァイスフックスはかなり希少な魔物なのだ。
一年中雪が降っているような場所にいるはずのヴァイスフックスをどうやって従魔にしたのかって、普通に気になるよね。
でも、ルテラの森にいましたとか言って信じてもらえるのかしら。わたしもなんであそこにいたのか説明できないんだけど。転生の神のせいかしら。
「どこでどうやって従魔にしたのか気になる、それが一つ。それから、お前さんが自分の身を守れるほどの実力があるかが知りたい」
レティが驚いたように目を開く。
「もし、その従魔を盗もうとするやつがいた場合、最後に物を言うのは己の力だ。そいつを守り切れるか?」
レティはそれを聞いて考え込む。
それを見たギルマスが続ける。
「力っていうのは剣や魔法の実力だけじゃない、権力や金なんかも実力のうちだ。お前さんに、そういう力はあるか?」
なるほど。レティに後ろ盾があるかが知りたいのね。
この様子だと、レティとわたしの身を案じてくれているのがわかる。
「ギルドって中立なんじゃないの?」
「まあ、基本の方針としてはそうだが、細かいところは各ギルドマスターの方針で変わる。それに、冒険者とそれ以外…盗人や商人なんかとの問題なら手助けしたりもする」
レティがわたしを見る。うーん。
現状、わたし達に後ろ盾はない。むしろ奴隷商人から逃げたりしたし。
知り合いにそういった人がいるかと言ったら、これまたいないとしか言いようがない。
なにか起きた時に多少なりともギルドが助けてくれるなら、助かるのは事実ね。
うん。仕方ないわね。
レティに顔を寄せる。レティもそれに気づき、撫でたりもふもふしたりしてくれる。
わたし達にとってこの行動はお互いを安心させるためのものだ。大丈夫と言葉にせずに伝えるために。
レティから離れギルマスに向き直る。
「当然、口は堅いわよね?」
ギルマスとイルゼラさんの目が点になった。
「なんっ…なっ…!?」
「え? え?」
「静かにして」
大きい声を出されたら意味がない。落ち着いてほしい。
「す、すまない…まさか…本当に…?」
「しゃ、喋った…」
二人がものすごく動揺している。この様子を見ると、セラの街で会ったレオーネ達は大分落ち着きすぎだったのではないだろうか。
「見ての通り、喋れるわ。レティだけじゃ限界そうだったからね。話に参加させてもらうわ」
「シュガー、ごめんね」
「いいのよ。ギルドが少しでも助けてくれるっていうなら、これくらい仕方ないわ」
それを聞いたギルマスが動揺しながらも頷く。
「あ、ああ。もちろんだ。なるべく手助けしよう。だが、いろいろ聞きたい。いいか?」
「答えられる範囲でね」
「構わない」
それから、いろいろ聞かれることになった。
「ルテラの森にいたのか? なんでだ?」
「知らないわよ。気が付いたらいたんだもの」
「旅の目的は?」
「いろいろ」
「…もう少し具体的にならないか?」
「んー…従魔コンテストに行く」
「従魔コンテストか…」
「ユニーク個体なのか」
「ええ」
「是非いろいろ調べたいな」
「変態」
「ギルマス、それはさすがに…」
「変な意味じゃない!」
「ヴァイスフックスってそんなに大きくなるのか」
「同種には会ったことないわ」
「戦闘はどれくらいできる?」
「先ほどオークを持って来られましたよ」
「あれくらいなら無傷ね。わたしは」
「レティシアはどれくらい戦える?」
「ゴブリンとウルフは平気。それ以外はないけど。魔法は水と風がレベル3」
「その年でレベル3か。すごいな」
「すごいの?」
「人間だとレベル2に上げるだけで一年かかる。そこからまともに使いこなせるようになるまでまた時間がかかるんだ。レベル3なんてそう簡単にはいかない。まあ、本人の努力と才能次第だが。エルフは魔法を習得するのが早いらしいが、のんびり屋が多いから若いうちにレベル3なんて滅多にいないだろ」
「シュガーと一緒に一年特訓した」
「それで3ならすごいさ」
「後ろ盾はあるか?」
「はっきり言ってないわね」
「やっぱりそうか」
他にも出会いとか聞かれたが、レティの村での出来事とか奴隷商人の話などはしていない。もちろん、わたしの前世についてもだ。レティにだって話してないんだから。
「スキルについては詳しく言えないのか」
「まだちょっとね」
「そうか…まあ、これくらいにしておこう。次に実際にどうするかだが」
「極論、わたし達がまだ弱いのがあれなのよね」
レティはまだFランクだ。それだけでも周囲からたいしたことはないと思われる要因になるだろう。わたしだって、強いかと言われれば、まだまだ戦い方がなってない。
「そうだな…もう少し、ランクを上げるのはいいかもしれないな。」
「うん。がんばる」
レティがやる気になっている。これからは上のランクの依頼を優先的に受けてみようかしら。
自宅の無線ランが調子悪くて困ったんですけど。
ルーターから無線ランでパソコンにだと繋がらないのに、間に無線ラン中継器挟むと繋がるんですよね。謎。中継器すごい。
でも今日ルーター新しくしたので中継器がいらなくなりました。ごめんよ。




