深き眠りの奥底と秘密の時間
さてさてもうこんな時間です
パンを美味しく頂いたならもうお腹は満腹でこのまま寝るのも悪くないなって思いつつも、私に絡み付くやるべきことのしがらみはどうにも離さしてはくれないみたい。
皆は好き勝手な事をして余暇を過ごしているのが羨ましくも感じているけど、やはりめんどくさく感じてもこの実況というのはなぜかと楽しくてやめることはできない。
ワーカホリックだと思ってくれてもかまわない、けどこれを私は誇りに思う。
それは七刻が前へと進み出す大きな1歩だと信じてやまない私への活力になるんだからさ。
そのうち時間もいい具合に過ぎて行くと子供にとっては眠くなる時間はいずれやって来る。
時刻は夜の20時、軍曹が眠そうに歯を磨きながら止まった手を動かすことなくテレビに見入っているようだが、ソファーに座っているのは何もの彼女だけではない。
その隣には私もいるのだ、眠いのなら心を許しその身体を預けてくれても構わない……否、大歓迎だッ!!
「ぐ、軍曹は寝るぞ……。」
「明日からまた仕事始まるし、私も寝る……おやすみ。」
軍曹は立ち上がり洗面所で口をゆすいだあと結愛と一緒に布団の敷いてある寝室へと重い足取りでゆっくりといってしまう。
2人の今回の寝床は和室であり、畳の香りが快眠に誘ってくれること間違いなしの素敵なお部屋。
もちろん私の寝泊まりする部屋でもあるが、なぜこんな和室があるかと言うと聖奈が1番ここに来る頻度が高いようで寝泊まりだってちょこちょこあるらしい。
そのために和室が完備されているのだが、聖奈の心を落ち着かせるための鹿の角でできた刀掛けが置かれていて、既に飾りとしてのも模造刀が1振。
「うむ、和室があるなんて思わなかったぞ……けど眠いから寝たいんだぞ。」
軍曹は眠気の限界が来ているのか布団に潜り込むのは良いが枕の方に脚が出ているじゃないか……それでいいのか。
結愛に至っては逆枕なのか頭の上に枕を乗せると言う奇妙でシュールな光景、まぁ……それで寝れたり疲れが取れるなら別に私とてなにも言わないが。
私は優しくふすまを閉めてやると再びソファーに座ろうとするも智美が大きく占領してはアイスクリームを美味しそうに食べている。
まるで風呂の縁に両腕を広げては生き返ったような感じで陣取りやがって。
どうやら恵麻がアイスを作ってくれてるようだが、彼女は冷気や氷……雪に水すら操れるのだ、よく考えればアイスクリームを生地の1から作るなんて容易いのだろう。
そういう私も何度か食べたことはあるがしっとりとしていて夏場は最高だと思える至高の1品。
まぁ、夏と言えど時雨じゃいつでも常冬に近いので雰囲気ぶち壊しではあるが美味しさは保証するさ。
「うーっ、来たわぁ……これよね!!」
智美が美味しそうな表情をしながらも目頭を押さえつつたべているのは、甘い香りの中に広がる大人の世界のアイスと言ったものだろう。
バニラアイスに上等なリキュールをかけて頂く知る人ぞ知る食べ方。
「私はだな、チョコソースをまんべんなくかけて頂くさ。」
智美はごく稀だがお酒を嗜む事はあるが普段は自制しているらしく、酔ったときの酒癖が悪いのは自覚をしているからなんだそう。
確かに酔っぱらった時に絡まれると何をされるかわかったもんじゃないが……少なからず私は嫌じゃない、恵麻にして見れば天国であるに違いない。
「恵麻はアイス作るの好きだなー。」
「私、こういうのしか作る取り柄無いですから……その、喜んでもらえるなら定期的に作っちゃうタイプでして。 えへへ。」
「浄水場辞めてアイス屋の経営した方が儲かりそうよねぇ。」
実際に恵麻がバニラアイスにこだわる理由は私もよく知っている。
ずっとずっと昔の出来事、まだ私達が1人の存在だった頃のお話だったかな……ある人と作ったアイスがとても評判でたくさん褒めてくれたからこうして今でも作ってるんだと思う。
優しくて口の中に溶ける甘さは極上で、さらには女神様の手作りと来る……こんな素敵なものを食べることができるなんて今夜はよく眠れそうに違いない。
けどここからが本番




