表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
わがまま女神の開拓誌 ~自分の島を観光地にしちゃおう!!~  作者: 青衣
第3章【火曜の火山《燎煉》】
82/120

熱気狂乱の開館

ついにオープン

 あれから時が過ぎるのは早いもの、3日なんて体感にすると1日程度で過ぎ去った気がする。

 待ちに待った……と言えば案外そこまでじゃないがにしろ当日はよく晴れた青空広がる好日で、どんなに暑かろうともいつか聞いたような長ったらしいお話や祝辞の後、燎煉博物館は念願の開園を果たした。


 まだ七刻大陸のお客さんしか呼び起こすことしかできない現状だが、スタートダッシュとしては順調なんじゃないかな?

 正確な数は把握できてはいないが1000人くらいのお客さんは来場したとは思う。


「いやはや、私も頑張ったかいがありましたよ。」


 どこから湧いて出てきたのかは知らないが後ろから瑞穂に声をかけられた。

 しばらく見かけなかった理由は地下で炭鉱を掘っていたかららしいが、その表情は初めて会った日よりどこか一皮も二皮も剥けたように凛々しい。


「2週間程度ここで仕事して思うけど、私けっこう体力ついたなぁって感じ。 昔は20キロが限界だったけど今や300キロくらいの重さなら余裕って感じ。」


「残念ながらそれはここだけの話になる。 元の世界に戻れば普通に数百キロの重さなんて持ち上げるのは不可能じゃないかな? けど、ある程度の筋力が付いたのは紛れもない事実……ここで頑張った努力は決して裏切らない。 おっと?」


 こんな他愛もない話ももうすぐ終わりを迎える頃合いになってきたのだろう。

 瑞穂の髪色と眼の色が元通りになり、更には足元が淡い光に包まれはじめて来たのだ。

 瑞穂もその意味がきっと理解できるはずだ……ここで彼女のやるべきことがすべて終わった事も、そして夢が覚めようとしている事も。


 そこへ智美が慌ててやってきた。

 瑞穂の気配が薄くなってきたのを察知したのか、それはもう急ぎに急いで。


「ここしばらくは頑張ったじゃないか、私からの手土産さ。 なぁに、2週間分だけどお給金受け取らないで帰ろうって魂胆は私のプライドが許してくれなくてねぇ。 きちんと対価は支払う……これ、持っていきな。 いやぁ、本当に大したモンだよ!!」


 そう言って瑞穂の肩をパンパン叩きながら手渡したのは1枚のちょっぴり大きなコインだ。

 ズッシリと重量のあるのは本物の金でできているから。

 コイン言えど何か特に額面として描かれているわけではなくデザインの欠片すら見当たらないツルツルした円盤でしかないが。

 簡単に言うと【金の円盤】以外何物でもない。


「特注で作ってみたのさ。 あちらとこちらで金の相場がどうなってるかは知らないが、七刻じゃ売れば50万円はする。」


「こ、こんな素敵なものを。」


 普通のどこにでも居そうな少女にそれだけの価値のあるものを渡すのだ、結構あたふたした様子を見て智美も一子報いってやったと言わんばかりのドヤ顔……至極御満悦。

 風呂と言いイジられ役のターゲットは私にしか矛先向けてくれなかったから、最後の最後で瑞穂へと移られたのだ。


 と言うか私にも欲しいんだがソレ。

 即刻換金してくるからさ。


「また来なさいよねっ!! 歓迎するわっ!!」


 またどこからともなく現れたのは結愛で、相変わらず人にビシィっと人差し指を向けて偉そうに無い胸張って。

 別れと言うのは突然だったりそうでなかったり、けど早かれ遅かれいずれやって来ることは結愛だってわかっている。

 瑞穂の足元が徐々に透明になり淡い光がよりいっそう強まる。


 もっと驚くことに普段プライドが無駄に高い智美が見事な姿勢でその敬意を賞するべく敬礼を瑞穂に向けている。

 確かに何の能力もない一般人の女子高生が灼熱の火山地帯を必死に生き抜き耐え抜いた、スパルタとも言える智美の鍛練に決して弱音を吐かず諦めることなく必死に食らいついて……だからだろう、認めざるを得ない。

 否、言うまでもなく彼女は他の世界から来たとしても立派な一人前の燎煉の民であるッ!!

 だからまた来てほしい、そのときは熱烈な歓迎をって智美の強い想いが伝わってくる。


 結愛も私もその努力と労いに最大級の無言の敬礼を。




 ……サヨナラは言わない。




 またいつか会えるんだからその時までは笑顔で見送ってやるってのが粋なものさ。

 こうして私達以外には人知れず、賑やかな博物館の裏には静かな光が散っていった。

もう彼女は下っ端なんて言わせない、そしてありがとう

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ