客として降臨してみた
賑やかで結構結構
燎煉博物館のが開館してからはや2日目、智美から貰ったチケットを使って今日は単独で遊びに来てみた。
昨日の今日だがお客さんの衰えは今だ知らず、休日と言うこともあってかブーストと言うのは激しいくマトモに展示物を見て回るのは厳しいかもしれない。
だけどこんな人込みと言うのが嫌いな私でも賑やかな雰囲気までは毛嫌いしてる訳じゃない、確実に発展を遂げてるんだなって嬉しくてたまらなくなる。
それも私達の手掛けたプロジェクトでだ。
小型の展示物はどうにも見れそうにはないが、大迫力のティラノサウルスとトリケラトプスの化石の向い合わせは臨場感たっぷり。
私は昔の生き物の骨としか認識できないが子供や男の人が大興奮で写真を撮っては喜んでいる。
肉食と草食の代表者は時を得てもライバルとして並べられる……死してなおも因縁と言う輪廻から断ち切れないなんてカッコいいものかもしれない。
別に恐竜に興味がある訳じゃないが、ただ単にそう思っただけだよ。
「こっちも人気があるな、それにしても何だこの音楽は?」
一際目を疑うものが遠目に見えるが、何を隠そうこの賑やかな音楽を放つ【ソレ】は静かな博物館に似合いそうにもない物であった。
そう、クレーンゲームの筐体がおいてあるのだ。
ぎゅうぎゅう詰めに人が押し寄せては両替機にもクレーンゲームの筐体にも100円玉をこれでもかと言わんばかりに注ぎ込んでいる。
何が彼ら彼女らを魅了するのだろう、事前に手渡されたパンフレットを見つめるとそこには驚愕の事実が。
……なっ、宝石の原石キャッチャーだと!?
主の本来住む世界にもこんなのがあったがよもや七刻にまで浸透しているとは思ってなかった。
化石と同じで宝石にも興味はないが、それでも何か1つでも主にプレゼントしたら喜ぶんじゃないかって思うと私も遊んでみたくて仕方なくなるじゃないか。
だがあいにくお札はあれど100円玉は無いし両替機までたどり着けそうにもない、それにここ数日はこの熱気からするとお客さんも減りそうに……いや、減っちゃダメだけど遊べる望みは少なそうだ。
でもよく考えてみたら私はクレーンゲームの類いはヘタクソだしああいうのに手を付けたが最後、獲れるまでやらなきゃ気がすまないで大金を使ってまでもってことになるし、確実に獲れるわけでもないから私は見なかったことにしておこう。
それにお土産ショップにはパワーストーン等も販売してるから安く宝石の類いが欲しいのならばそっちで確実に買うのも手だな。
後で行ってみるか……そう思ってた矢先だ。
「冥綾、楽しんでる? 仕事の休憩時間だから様子見に来たわぁ~。」
賑やかさと言うか、燎煉にお客さんが詰め込んでチヤホヤ状態だとさすがの智美も嬉しくてニヤけが止まらないって感じなのか……それでもって腹黒さが後ろで渦巻いてるのは気のせいじゃないよね?
けど怒ってる顔よりは断然智美の笑顔はやっぱり可愛い……2回目だけど、彼女がこんな笑みを浮かべるのは何か裏がある時がほとんどだけど。
それでいて純粋に笑ってるんだからこの女は言わなくても危険だけど。
「ねぇ、あんな使い物にならないゴミみたいな宝石の原石なんだけど、お金ドバドバ投入してくれるって良いわよね? さすがルビーやエメラルドの名前は伊達じゃない。」
「えぇ……そうだったの?」
智美が言うには質が悪すぎる原石は売れもしないから処分にも困るが、ああやってプライズの景品にしてしまえば射幸心をくすぐるもの。
しかも景品は宝石では有名なサファイヤだのガーネット、トパーズ……と、名前の威を借ってしまえばそれこそ価値の無いどうしようもない石コロ同然であっても一般人にはそんな事分かるわけもない。
つまり、実質タダが数千円にも化ける寸法って訳……うわぁ、知りたくなかったなぁ。
智美が腰を低くして耳に手を当てて教えてくれた。
「この事は絶対に秘密よ?」
「う、うん……。」
商売のためとはいえ、やはりどんな仕事にも他人には言えない裏事情があると言うのを忘れてはならない。
私だって仕事をしていても完璧ではないし、時としては善人の魂ですら地獄行きの船に間違って引導したりすることが稀にある。
それに増えすぎた人間を調整するために今死ぬべきではない人間を不運な事故に見せかけて殺す運命すら植え付けることだって……ノルマを課せられたなら私はためらうことなく老若男女平等にやるのだ。
そう、仕事と言うのは割り切るに割りきれず納得の行かないこともある。
けどゴミを高く売る詐欺まがいだろうが、理不尽な死をもたらそうが……仕事は仕事なんだ、全てはわがままとエゴで成り立つ世界。
世界の経済の発展なんかも誰かの犠牲なくしては望めないのと一緒なのかもしれない。
ボロい儲けよ




