26話 ギフトの検証と可能性
◆創造の真価◆
僕の”魔力視”はフレイムベアの戦いの中で創造へと進化した。
ただ、この創造は使うギフトによって効果が全く変わる。どんな効果が生まれるのか予測できず、制約も多い。――でもそれを補ってなお、新しいギフトを生み出せるという可能性には抗えなかった。
今日は、ギフト創造の検証に来ている。
他の人のギフトが使えるのも大きな利点だが、それは“使える人が他にもいるギフト”にすぎない。それよりも創造によって“誰も持っていない新しいギフト”を生み出せることの方がはるかに重要だ。
だからこそ、この力を悪用しようと考える者が現れてもおかしくない。その危険性を理解しているから、慎重に検証を進める必要があった。
フレイムベア騒動のあと、ギフト創造でいくつか分かった事がある。
「まずは解っている事を整理してみよう」
・創造はギフトを3つ消費して新しいギフトを1つ作る。
・能力模倣の合計が5にならないと創造は発動できない。
・どのギフトを消費するかで、生成されるギフトが変わる。
・創造の完了には10分間かかる。
・創造を開始した時点で、消費したギフトは消滅する。
・消費したギフトは、その瞬間から元の持ち主が再び使用可能になる。
さらに、ギフトによって《コピー》で必要なストック数が違う。
ラピスの絶対切断や剣豪は2消費、小さな世界などは1消費でコピーできる。
最大の問題は、『コピーされている間、元の持ち主はそのギフトを使えない』という制約だ。
これではコピーというより“レンタル”に近い。
ラホ村には、2消費のギフト持ちが盾の守護者(ラピス除く)しかいないため、彼らのギフトを入れ替えながら検証を行った。
なお、一日中ギフトを貸してくれたセメリオちゃんには後でご褒美を渡す予定だ。
◆検証結果について◆
検証1: 剣豪+火炎柱+小さな世界
獄焔呪牢
※檻に閉じ込めた対象の攻撃力を下げ炎のダメージを与える。対象は檻に入っている全て。
検証2: 癒しの空間+火炎柱+小さな世界
浄火聖域
※毒や呪いに侵された対象を聖なる炎で浄化する。対象は空間に入っている全て。
検証3: 硬化+剣豪+小さな世界
火炎柱→剣豪
鬼炎鏡牢
※檻に閉じ込めた対象の攻撃力を常に下げ続けるデバフを発生する。対象は檻に入っている全て。
検証4: 硬化+癒しの空間+小さな世界
聖光鏡域
※保護した対象の傷を治し、体力を常に回復し続けるバフを発生する。対象は空間に入っている全て。
今できる組み合わせを一通り試していたら、リックさんたち“盾の守護者”のみんなが、あるギフトを懇願してきた。
それは…聖光鏡域だった。
「ねえねえ坊ちゃん、ほら、あれやってよ」
「ぜひお願いします」
「俺たちの献身に報いるために」
「メンバーの体調管理もリーダーの務めだろう? ここはひとつ、頼むよ坊ちゃん」
アランはため息をつきながら言い返した。
「またそんなこと言って。リックさんたち、怪我なんてしてませんよね? 魔物と戦ったわけでもないでしょう」
すると、全員が一斉に苦しい言い訳を並べ始めた。
「いやぁ……最近、肩こりと腰がな……いててて」
「俺は……その……頭の毛が抜けてきて……寂しくなって……」
「目が疲れてさ、近くの物が見づらくなってきて……」
「私はお肌の張りがなくなって、水を弾かなくなっちゃって……」
歳を重ねると悩みが増えるとは聞いていたけれど、盾の守護者たちの訴えは、思った以上に切実だった。
◆無限回復 vs 無限ビンタ◆
「……はぁ、分かりました。ただし、一時間だけですよ。あとでセメリオちゃんに感謝してくださいね」
アランが《能力模倣》で保持していた
《小さな世界》 / 《癒しの空間》/ 《硬化》
――この三つを消費し、《聖光鏡域》を発動した。
光が満ちると同時に、四人は一斉に歓声を上げた。
「おいリック! 見ろよ、産毛が生えてる!!」
「おおおっ、目がシャキッとしてる!」
「ふぅうう~……癒されるぅ……」
「今ならどんな怪我をしても、あっという間に治っちまう気がするぜ!」
胸を張るリックに、アランが淡々と告げた。
「それは検証する必要がありますね。……ディアーズさん、リックさんの顔を思いっきりひっぱたいてみてください」
「了解! ギフトの検証のためだものね! リック、全力でいくわよ!」
「ちょっ、まっ――」
リックが一瞬、制止の言葉をかけるが、ディアーズの腕には一切躊躇なくリックの頬に吸い込まれていった。
パーン!!
乾いた音が響き渡る。
リックの頬は一瞬で真っ赤に腫れ、鼻血まで垂れていた。
「あらすごーい。もう頬が元に戻ってる」
「もう十分だろ? 検証終わりで――」
「いえ、何回も叩かないと検証にならないでしょ」
「いやだから待っ――」
リックの懇願する声は、ディアーズの耳には一切届いていなかった。
パパパパパパパーーーン!!
もはや連打。ディアーズの腕は別の生き物のようにしなり、リックの頬を左右交互に襲う。風圧で髪が揺れ、リックの顔は高速で左右にブレ続けた。
「はぁっ……はぁっ……! のってきたぁぁぁ!!」
ディアーズの目が完全に“ドSモード”に入った瞬間だった。
リックはというと、もはや言葉にならない呻き声を漏らしながら、叩かれるたびに治り、治るたびに叩かれ、ギフトの恩恵を最も無駄な方向でフル活用していた。
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