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本格!!豆腐縛り転生〜そして男は豆腐になった〜  作者: 弌黑流人


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26. そして男は魔王となった

戦いは終わった。

鍛冶師は深く息を吐き、勝利の余韻に浸っていた。

そして、俺――豆腐槌マルドゥクをドワーフ王に献上するため、王城へと向かった。


式典は盛大に行われ、俺はドワーフ国の国宝として、王宮の一室に安置されることとなった。

式典も終わり、辺りが静けさに包まれた頃、俺の耳にいつもの声が響いた。


『転生を開始します』


「お、おう、もうか……なんか国宝になった意味、あったのか?」


俺が返事をすると、シアさんは楽しげに次の転生先を告げた。


『転生先:魔王豆腐。種族スキル:【凝固】、特性:【鉄槌】を獲得しました』


(魔王豆腐……だと……? 豆腐のくせに魔王で、しかも特性が鉄槌!?)


トーフマンは、自分の運命が、またしてもとんでもない方向へ進んでいることを悟った。


今度の転生は、いったいどんな物語の始まりとなるのだろうか。

シアさんの歌声を聴きながら、次第に思考する力も弱まり、意識が遠のいていった。


次に目が覚めたとき、俺は何の感慨もなく、自分が豆腐であることに違和感を持たなくなっていた。


今度の場所は、静かなエルフの森でも、騒がしいドワーフの坑道でもない。全身を包み込むのは、重く、禍々しい魔力と、冷たい玉座の感触。俺の体は、漆黒に光る巨大な玉座に鎮座する、威厳すら漂わせるかのような特注の容器に収められていた。


眼下には、不気味なほどの静けさの中、黒いローブを纏った魔族の幹部たちが、額を床に擦り付けるようにひざまずいている。その緊張感は、ドワーフの鍛冶場の熱気とはまた違う、絶対的な支配者の冷酷さを帯びていた。


(エルフの里で癒しアイテム、ドワーフの国で武具の材料とされてきた俺……。だが、ついに! ついにこの時が来た! 今度こそ、世界を支配する、最強の存在に! しかし、まさか魔王に転生しても豆腐とはなぁ……)


俺は心の中で落胆した。魔王という最強の存在になったというのに、その姿はどこからどう見ても四角い豆腐。だが、これまでのただの豆腐とは一味違った。俺の体は、闇の力を凝縮して作られたかのように漆黒に輝き、容器の中で微かに脈動している。まるで、一振りすれば世界を滅ぼすほどの力を秘めているかのようだ。


『トーフマンさん! 目覚めましたね!』


シアさんの声が、いつも以上に興奮を隠しきれない様子で、耳元に直接響く。


『転生先:魔王豆腐。種族スキル【凝固】、特性【鉄槌】を獲得しました!』


「シアさん、またまたまたまた、またもや豆腐かよ! 俺、魔王になったっていうのに!」

『おや、ご不満ですか? トーフマンさん。ですが、あなたのその姿こそ、この魔界の頂点にふさわしい、究極の存在なのです! 闇の力を凝縮し、強固に凝固した、まさに魔王にふさわしいお姿ですよ!』


シアさんは、心底楽しげな声で俺の運命を告げてくる。俺の体からは、魔王としての威圧感と、どこか懐かしい豆腐の香りが混じり合って漂っていた。その香りは、ひざまずく魔族たちにとって、絶対的な支配者の香りとして受け止められているようだ。


「……なぁ、シアさん。なんか、俺、前より硬くなってないか?」


俺は、自分の身を包む尋常ではない硬さに気づき、思わず問いかけた。


『はい、お気づきになりましたか? 特性【鉄槌】により、あなたの体は、ダイヤモンド以上の硬度を誇るようになっています。その硬さは、まさに「硬めに凝固」した究極の豆腐なのです!』


シアさんの言葉に、俺はどこか納得してしまった。そうか、俺はただの魔王ではない。世界を支配する「硬めに凝固した魔王豆腐」なのだ。この物理的な硬さが、俺の精神的な硬さにまで繋がるような気がした。


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