「再誕」〜旅路の始まりに言祝ぎ(ことほぎ)を〜
──ピチチチチ
「あ、?」
鳥の声?
なんで?
僕はあの時死んだはずじゃ
まさか、ここは天国?
「ーっ!」
眩しい
視界に写るのは青々とした空
「生き、てる?」
本当に?
「あれ、体が...」
あれほど出たはずの血も、狼に食べられてほぼ原型がなかったはずの体も元通りになっている
「痛く、ない!」
やった!
僕は生きてる!
腕もある!
脚もある!
抜かれた舌も全部ある!
五体満足で生きている!
「ここは...?」
一度冷静になって周りを見渡してみる
「この川は、もしかして?」
僕が、狼に喰われて死んだ場所
そこにここの風景は酷似していた
「まあそれもそうか」
わざわざこんなところにまで来て死体を動かすような奴がいる訳もないよね
ひとまず場所の把握はできた
「山の中にいてもいいけど、せっかく生きているんだ」
深呼吸をして陽の光を浴びる
生きているということを実感できる
「さあ、復讐ってやつを始めようか」
ロイフ、次はお前が“踏み潰されて喰われる”番だ
〈〜〜〜〉
前の章から??年後...
《ロイフ視点》
──♫♫
──ふむ...その話には是非とも一枚噛ませていただきたい...
──でしたら後日詳しい話を...
「パング伯爵家当主、ロイフ=コション=パング伯爵夫妻ご入場!」
──おお、あれが...
──若くして領内の問題を次々と解決し、国王陛下からの覚えもめでたいという...
──ふん、どうせまぐれだろう
有象無象どもが何を言っているのかよく分からないが今の私は伯爵家当主
ただの子爵家の嫡男だった頃とは、父上の言いなりだった頃とは違うのだ
「おお、これはパング伯爵殿。ささ、このワインをどうぞ」
...他人から渡されるワインを不用心に飲むわけがないだろう
どうせ何か混ぜ物がしてあるだろうな
しかし相手は侯爵家、受け取らないわけにもいかない
一口飲むふりだけをして切り抜ける
「して、今そちらで行われている鉱山開発とそれに関連する街道の敷設についてお話を──」
「いえ、その話については──」
この話は近隣の伯爵、子爵家で話を進めるという話をすでに公表したというのに、情報に疎いのか?
私の後から入ってきた高位貴族の方々に挨拶をしにいかねばならんというのに...!
「国王陛下御入来!」
近衛の騎士が声を張り上げて告げる
「おっと、ひとまず話はここまでにしましょう。ではまた」
「ええ」
流石に国王陛下の来訪を気にしないほど愚かではなかったか
「皆の者、よく来てくれた。今回集まってもらったのは他でもない。我が娘である第二王女の視察先の領地を決めるためだ」
「陛下!でしたら是非我が領地へ!」
...間抜けは見つかったようだ
「だれが発言を許可した?」
間抜けな貴族は顔をさっと青ざめさせるとすぐさま頭を下げ謝罪をしようとしたが...
遅すぎるな
「も、申し訳」
「遅い、摘み出せ」
「へ、陛下!何卒恩赦を!恩赦をぉぉぉ!」
──バタン
謝罪の言葉を述べるなら、陛下が咎めるよりも前に即座にやらねば意味がない
「では話を続けよう。立候補する者はいるか?」
ふむ...王女を領地へ招いたというだけでも名誉あることだ
それに視察ということはこの話に触れられた際に話題として領地が取り上げられることとなる...
こちらにとって悪い話ではない、な
「では僭越ながら我が領地はいかがでしょう?」
「ふむ、パング伯爵領か、そなたによって急速に発展していった領地だ。不足はないだろう。他の者たちも異論はないな?」
...すんなりと決まりすぎだ
出来合いの話だったか
となると第二王女に何かしらの問題があるのか?
急速に発展し、鉱山までも出てきた我が領地はさぞ鬱陶しいだろう
この機会に反感を持たれない程度に抑えるつもりか
「異論はないようだな。では王女の視察先はパング伯爵領とする!後は各自で夜会を楽しむといい」
そうしてまた、貴族と貴族の話し合いに身を投じていく
私を踏み台にできると思うなよ?
踏まれるのはお前らだ
私は必ずこの国を牛耳る大貴族になる
そして、母様を殺した平民共を
死ぬまで奴隷としてこき使ってやる!
「面白い」「続きを読みたい」と少しでも思っていただけたら、高評価やブックマークをお願いします。
できるだけ高頻度な投稿をしていくのでこれからもお願いします。
なぜなろうはエピソード並び替え機能がないのか...




