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過去〜ロイフの原点〜

補足

ロイフは本編時点で19歳、次の章では三十路辺りとなります

主人公達は大凡10代前半です

==========================


〈ロイフ視点〉

十数年前...


「母上〜!先生がいじわるする〜!」


「あらロイフ、どうしたの?...ごめんなさいね、うちのロイフがわがまま言って」


「いいのです、私の教え方が気に食わないだけでしょうから...」


だって当たり前でしょ!


授業で平民はお金がなくて困ってるって言ったから、平民にお金になる物をあげたらいいと思いますって言ったら


『平民は一人や二人ではないのですよ、そのあげた物で全員を救えるほど、この問題は簡単ではありません...さらにはそれを巡って争いが──』


なんてこと言うんだもん!


ノブレスオブリージュ、貴族の責務(弱い者には施しをせよ)を果たさないといけないんじゃなかったの!?


そう母上に言うと、


「...ねえロイフ、お菓子を貰えるってなったら欲しいわよね?」


「うん!」


「だけど、あなた以外にも欲しい人がいっぱいいる、それでもお菓子は一つだけってなったらどうなると思う?」


うーん、一つだけだったら分けられない...


でも欲しい人はいっぱいいる...


...あっ、そう言うことだったんだ!


「だから先生は物をあげただけじゃ平民は救えないって言ったんだね...」


理解して私が落ち込んでいると、


「でもその優しさは美徳よロイフ」


「びとく?」


びとくってなんだろう?


「良いところって意味よロイフ、その優しさを忘れないでね」


「うん分かった!」


やっぱり困ってる人を助けようとするのは良いことだったんだ!


〈〜〜〜〉

数ヶ月後


「ああ、貴族様、腹減った...何か食べ物をくれないか?」


授業を抜け出して遊びに行こうとしたら、困ってる人を見つけた


「だ、大丈夫!?すぐ何か持ってくるね!」


今こそ貴族の責務を果たす時!


急いで何か持ってこなくちゃ!


──ドタドタ


とりあえず白いパンをいくつか持ち出して外に出ると、


「あれ、いない...」


母上が見つけて何かあげたのかな?


そう思いながら部屋に戻って横になっていると、


「きゃああああああああっ!」


「母上!?」


母上の叫び声が聞こえて急いで部屋に入ると


「おお、おぼっちゃま、不用心に扉を開けてくれてありがとよ!」


さっきの平民が、母上に馬乗りになって刃物を突き刺している


「母上!何で母上にこんなことをするの!?」


「何で?なんでだぁ?」


こっちを向いてまるできたないものでも見たみたいな顔をして、


「んなもんこいつが貴族だからに決まってるだろうがよ!貴族の女は視察とか言って俺らのスラムに来るが、ただ嫌悪の表情で鼻をつまんでこっちを見るんだ!良いよなぁ!自分は俺らの金でいいもん食って!俺らは明日の飯にも困ってるって言うのに!」


目を見開いてそう言う平民に、私の足は恐怖で強張って動けなかった


母上が目の前で刺されていると言うのに。


「突撃ぃ!アイロニー様の救出を第一に動け!」


そうこうしていると騎士の人が入ってきて平民をあっという間に取り押さえると、母上に対して何かの処置をしている


「...どうだ?」


「(ふるふる)」


「そうか...お守りできず、申し訳ありません...」


なんで、どうして?


助けてくれたんじゃなかったの?


ねえ、母上は、おかあさんは助かるんだよね!?


「...ねぇ、ロイフ、こっちきて?」


「お、おか、おかあさん!」


泣きながらおかあさんに駆け寄る


「ダメじゃないの、母上と呼びなさいって、言ったわよね?」


途中で口の端から血を垂らしながら言う


「は、はうえ、からだ、さされて、ぼ、ぼくの、」


さっきちゅういされたのに、やっちゃった


“私”っていいなさいって、いわれたのに


「わた、わたしのせいでははうえが」


「あなたのせいじゃ、ないわロイフ」


ヒュー、ヒューと吐息を漏らしながら言う母上を見てまた涙が溢れる


「ちがう!ちがうよ!わたしがあのひとをやしきにいれたから!」


「でも、これで、分かった、でしょう?」


「うん、うん!」


「そう、なら、良かった、わ...」


ふっと、私の顔に添えられていた母上の手が床に落ちる


「ははうえ?」


──シーン...


返事はない


「ははうえ、ははうえっ!ははうえぇ!」


ははうえが、しんでしまった


そう理解したのは、すぐだった


そのあとは、兵士に無理やり部屋に戻されるまでずっとそうして母上にすがりついて泣いていた


部屋に戻されてからも、


泣いていた


ずっと、ずっと─


〈〜〜〜〉


あれからどれだけ経ったのか、涙も枯れた私は決意する


「母上が言っていた」


『これで分かったでしょう』


と。


「うん、分かった、分かったよ母上」


私は平民に施そうとした


それなのにそれを利用された


そして母上はあの平民の貴族の女への恨み、そのとばっちりで殺された


普通に考えれば一番悪いのは私だ


でも母上は言った


『あなたは悪くない』


と。


なら悪いのは誰だ?


「...平民」


結論は出た


「分かったよ母上」


「私は」


「平民を」

































「この世から消す」


そういうことだよね、母上?

「面白い」「続きを読みたい」と少しでも思っていただけたら、高評価やブックマークをお願いします。

できるだけ高頻度な投稿をしていくのでこれからもお願いします。


この勘違いを正せないのは、果たして貴族の傲慢なのか...

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