「産声」
「流石に甘かった」
結構やばい事態になった
「賊はまだ庭のどこかにいる!さっさと捕えろ!」
ただいま絶賛絶体絶命
騎士の強さに絶句の逃走劇の真最中
ってふざけられるような状況でもないんだけど
いやまあ。
分かってはいた
分かってはいたよ?
本当に騎士強くない?
なんか視界に入ってないはずなのに居場所正確に見つけてくるし
剣使ってくるのもそうだし
弓矢で足狙ってくるのもえげつないよね
「これ、無理かも」
──ヒュッ
噂をすればなんとやら
また矢が飛んできた
って、ん?
これ、
吹き矢!?
「あっぶな!」
暗殺者か何かかな?
「一旦ここは引こうか...」
──ビシュッ
「え?」
視界が揺れる
覚えのある感覚
体の繋がりが途切れていくような、熱が抜けていくようなあの感覚
──切られた
嘘でしょ?
本当に暗殺者みたいなのがいたの?
ていうか切られた?
「...首を落とそうとしたのですが、しくじりましたか」
首を落としたはず?
落とせてない、殺せてないなら戦いは終わらない
僕はまだ“生きてる”
ならまだ戦える
...ああ、そっか
相手は僕を殺しにきてる
それなのに油断して遊び感覚でいた
一度死んだはずなのに生きているから
なんで今まで躊躇ってたんだろ?
なんで死なないと思っていたんだろ?
今この場では、生きるか死ぬか
そして僕ならこいつを“殺せる”
ただの確信
ただの事実
だってそうでしょ?
『そう、その通りよ』
僕の手には“コレ”があるのに
両手で構え、そこらへんで拾った黒いボロ布を被ってただ一言
『さあ、』
【死鎌を与えましょう】
「...殺す」
『殺しましょ?』
〈〜〜〜〉
「なんだ、こんな簡単なことだったんだ」
何を僕は回りくどいことをしていたんだろう
一面の血の海で佇みながら覚悟を改める
「証拠が必要?」
だから書類を盗りにきた
...バカなの?
そんなのやらなくていい
「なら脅して喋らせればいい」
それだけのこと
「一回僕と同じ目に合ってもらう?」
生温い
それで満足するわけがない
やりたいようにやって、痛めつけて、
最後に殺す
「アイツが今王都にいるのはさっき聞いた」
「で?」
さっきまでの僕ならこの街を満喫しながら待っていただろうね?
「なら僕も行けばいい」
アイツのことだ
どうせ他の貴族も見下してる
そんな奴らの前で公開処刑する
笑い物になる
娯楽になる
いや、“する”
...それはアイツにとっては随分と屈辱的で、僕にとっては甘美じゃないか?
かつて権力の、謀略の、理不尽の前に軽く打ち砕かれた
「なら次は、僕が圧倒的な“力”という『理不尽』で」
「ロイフ、お前を粉々に打ち砕く」
〈〜〜〜〉
《ロイフ視点》
「ん、なんだ?早馬?」
夜会を終え、取引などのため滞在する屋敷に荷物が運び込まれる様子を眺めながら寛いでいると、窓の外で駆ける早馬を見つけた
しかも我が家の家紋がついている
「よほどのことがない限りは早馬を使うことなどないのだが...?」
不審に思いつつ、我が家の暗号を確認したので開けて中身を確認する
中に入っていたのは...手紙?
内容は...
「なん、だと?」
➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖
【 緊急 】
【 】
【 領地の屋敷にて、夜間の巡回を任せていた 】
【 兵に加え、早めに事態を鎮圧させるための 】
【 “鴉”と“梟”までもが《全滅》しました。 】
【 至急お戻りください 】
➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖
「面白い」「続きを読みたい」と少しでも思っていただけたら、高評価やブックマークをお願いします。
できるだけ高頻度な投稿をしていくのでこれからもお願いします。
手紙とかってどう表せばいいんだろ...




