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九百十九:泰子さんの話(816) ★定期預金とAIの話

九百十九:泰子さんの話(816) ★定期預金とAIの話


 AIと聞けば、最近の流行りだ。流行りどころか、猫も杓子もAIで、昔なら「猫が杓子を使うとは器用なものだ」と感心するところを、今では「猫にもAIを使わせようか」という時代になった。私も実は、この流行に無関係ではない。むしろ、かなり深く関係している。


 新製品を開発するときなど、私はAIに大いに助けてもらっている。鉄の材質は何がよいか、焼入れ硬度はどのくらいにすべきか、設計はどうするか。しまいには、出来上がった製品の特許申請書の原稿まで作ってくれる。そればかりではない。試作や製造を引き受けてくれる下請け工場まで、日本全国から探し出してくれる。まことに親切な奴である。


 おかげで私は、一人で五人分くらいの仕事をしている。もっとも、五人分働いているのは私なのかAIなのか、その境界はだいぶ怪しい。こうなると、人間の事務員など必要ないのではないか、という考えも浮かんでくる。


つづく

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