九百十二:泰子さんの話(809) ★野心のすすめ ― 「低め安定」の人生(2)
九百十二:泰子さんの話(809) ★野心のすすめ ― 「低め安定」の人生(2)
「人生は自分探しではない。人生とは自分を創ることである」というバーナード・ショーの言葉があるが、私もその通りと思う。自分というものは、どこかの山奥に落ちていて、それを拾って帰れば完成するものではない。探しても見つからないから、仕方なく自分で作る。その材料が努力であったり、野心であったり、時には負けん気であったりする。
もっとも、私自身は林真理子の生きて来た世界とは随分違ったところを歩いてきた。彼女はマスコミと文学の世界で成功した人。私はそういう華やかな世界とは縁がなく、セールスマンとして地味な仕事をして来た。
そのためか、もし私が人生をやり直せるとしても、「よし、明日から林真理子式に生きてみよう」とはならない。それでも、林真理子が生きた(まだ生きている)世界は、私の知らない分野なので、未知な世界を覗く意味で、本の内容は充分に楽しめた。
読んでいて特に感じたのは、男と女は随分違う、ということだった。人生を切り開く意味で、この違いは決して小さくない。林真理子は、人からどう見られるか、誰が何を言ったか、その後どうなったか、といったことを実に細かく気にする。人間関係について非常に敏感だ。女性特有の感性やこだわりが、随所に顔を出す。
つづく




