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九百三:泰子さんの話(800) ★お金の話(5)

九百三:泰子さんの話(800) ★お金の話(5)


 親が陰で助けたかとは思うが、母子家庭の暮らしは苛酷だったに違いない。子供を抱えて離婚した女の貧困率は、私の記憶している数字によれば、60%に上る。証明するように、彼女は七十を過ぎても働き続けなければならなかった、と聞く。


 伝え聞いたとき、私は深い暗さの中へ引き込まれる思いがした。彼女は怒っていたのではなかった。昔好きだった男に、落ちぶれた惨めな自分の姿を見せたくなかったのだ。その心を思うと、胸が締めつけられた。   

 ほどなくして、彼女は認知症を患い、本当に私の事を忘れてしまった。


 彼女は、恐らく五十過ぎであろう自分の娘さんに引き取られた。未婚だと聞いていた娘さんへ、私は直接安否を尋ねる手紙を二度書いた。あたかも実の娘のように感じた。けれども、返事は二度とも無かった。


 悪く考えて、ふと思う処があった。たとえ失礼さを憎まれても、万が一のケースを見過ごすよりはましと考え直し、三度目には、遠回しに経済的なお手伝いも出来ると伝えた。もし必要なら、自分一人で無理であっても、叔母の泰子やすこさんに助力をお願いしようと考えた。それでも、返事はついに来なかったのである。


 改めて、手元にある娘さんの住所をじっと眺めた。この時初めて不自然さに気付いた。嫌な予感が

した:


つづく

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