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八百九十八:泰子さんの話(795) ★宇宙語と音楽(5)

八百九十八:泰子さんの話(795) ★宇宙語と音楽(5)


 友情や悲しみは、生物が進化する限り宇宙のどこかで異星人と共有されるかもしれない。けれども音楽は、人類という種が長い歴史の中で育て上げた、極めて独特で特殊な感性の産物ではあるまいか。異星人との間のコミュニケーションとして、共通の「宇宙語」になり難いという気がする。


 言い換えれば、AIがどれほど巧みに作曲しようとも、その根底には人間の感情の統計があるからには、AIの音楽は人間を超えるようでいて、最後まで人間から離れることはできない。科学は宇宙を説明するが、音楽という芸術は宇宙に問いを投げかけるみたいだ。


 「ヘイルメアリー」を読んでない人には気掛かりだろうと思うから、最後に付け加えておく: 搭乗者の主人公は、最後には異星人の故郷へ渡り、その星に用意された地球環境の中で中学校の教師として余生を送る。地球へ帰ることはついになかったが、友情は国境どころか星さえ越えた。ちなみに、その異星人の寿命は六百年であるという。


お仕舞い。

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