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1909/1933

八百九十七:泰子さんの話(794) ★宇宙語と音楽(4)

八百九十七:泰子さんの話(794) ★宇宙語と音楽(4)


 けれども、どうもそう単純には割り切れないようだ。なぜなら、音楽には終わりがないからだ。毎年新しい曲が生まれ、しかも名曲と呼ばれるものが絶えず現れる。音の組合せは無限に近い。無限に近いのに、人は無秩序な雑音と美しい旋律とを瞬時に聞き分ける。この境界は一体何処にあるのだろうか。


 AIの基本は数学的に思考を推し進める事が得意だ。その外に、もう一つ、ネットを通じて大量に取得した知識を整理して「統計を取る」という特技がある。これは過去から現代へと伝統的に生き残って来た楽曲、即ち名曲をことごとく覚え込んで、統計処理出来る。人がどんなリズムを最も好むか抽出出来る訳で、AIはこれをやっているのだ。


 統計処理で、AIは自動的に作曲できることになる。事実冒頭で紹介した音楽チャートの上位を占めても、何ら不思議ではないし、当然にそうあるべきだ。それは驚くべき能力だが、考えてみれば、その基礎にあるものは、人間という生き物の感性の統計だ。AIは決して新しい心を持ったのではない。人間という巨大な鏡に映った好みを、極めて忠実に「映し返している」だけと言える。

  

 そう考えると、音楽とは宇宙語というより、人間全体の共通語ではないかという気がしてくる。もっとも人間らしい言語であり情感言語なのだ。


つづく

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