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1908/1932

八百九十六:泰子さんの話(793) ★宇宙語と音楽(3)

八百九十六:泰子さんの話(793) ★宇宙語と音楽(3)


 読みながら、私はふと別の疑問を抱いた。音楽や絵画という芸術は、異星人との間で共通言語になり得るか。考えてみて、まず絵画では無理ではないかと思った。


 ミロのヴィーナスを見ても、モナ・リザを見ても、その美しさは人間の身体や文化を前提として成立している。眼の位置も、口元の微笑も、黄金比も、人間だから理解できるのであって、全く異なる身体構造を持つ生命体が同じ感動を覚えるとは思えない。即座に却下だ。


 じゃ、音楽はどうか。

 私は昔から不思議に思っているが、ベートーヴェンの「運命」や「エリーゼのために」は、ドイツ人だけが感動する音楽ではない。日本人もアメリカ人も、中国人も、その旋律に何か共通した美しさを感じる。文化も歴史も宗教も異なる人々が、同じ旋律を美しいと感じるのは、考えてみれば実に不思議な現象ではあるまいか。


 音楽は、音の高さ、長さ、強弱、速度、拍子、和音など、一定の規則の組合せから成り立っている。これらは一見自由でありながら、実は人間の心地よさを生み出す何らかの法則に従っているのではないか。もしその法則が、数学として完全に記述できるなら、音楽は数学そのものになり、数学が宇宙を支配する共通の言語である以上、音楽もまた宇宙語になり得るはずだろう。ではないか?


つづく


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