七十話:元凶の村・前編
皆様のお陰で総合評価200ポイント行きました!
これからも引き続き見ていただければ幸いです!
そのまま北東へ向かって進むこと数時間。
生命の見当たらない世界を味わいながら進み続けている訳だが、思った以上にしんどい。
…なんでかって?
あまりにも周りの光景が変わらなすぎるからだ。
どこまでも行っても続いている、ただただ荒れ果てた大地。
今日は風も無いから雲も動かない。
…というか雲も殆ど無いし!
絶賛、晴れである。
その天候で時々その場に感知を使い、また進む…
辛うじて太陽が動き、北西の目印である西の山が徐々に鮮明に大きく見えてきているのが救いか?
それがなかったら…ただただジリジリとした暑さと変わらない風景の中を歩き続ける苦行だ。
いや、幻覚でループしてるんじゃないか?なんて思い始める所だ。
なので少しずつ進んでいると、そう思い込みつつ歩いて、疲れたら地面に座りながら休憩をとる。
現在は日もいい具合に傾いてきており、そろそろ夕方になるかという時刻だ。
こうも変化が無いと、身も心もかなり消耗するんだな。
ノーブル王国との国境からイロンの町までほぼ一日歩きづめでも疲れなかったって言うのに。
心は感知のせいもあるんだけどさ…
それに疲れて休憩をとっているが、確か休憩するのはもう…何回目だろう?
ぶっちゃけよく覚えていない。
それに段々と休憩の間隔が短くなってきている。
このままじゃ動けなくなって夜を明かしそうだ。
もうすぐ夜になりそうだが…せめてそれまでにどこかにたどり着きたいと祈るばかりだ。
それにしてもやっぱり、変化って重要なんだな。
せめて誰かと来れば良かったと、しみじみと後悔するばかりだ。
少し前に自分で追い返したばかりだけどさ…
でもせめて話し相手くらいは欲しいな~って思うんだ。
やはりこれからの事を考えると旅仲間って重要だよな。
…よし、決めた!
この調査が一段落着いたら親方や爺さんに相談して、一度ノーブル王国に戻ろう。
そしてラルを迎えに行こうか。
女神もそろそろ迎えに行けって言ってたしな!
この場所ならどんだけ魔法使っても周辺に被害なんてないし、いい練習場になってくれるだろう。
それに、イロンの町の人達もきっと受け入れてくれるだろうし。
タイミング的にはそれがベストだろう。
とまぁ何回目かの休憩でそんな決意を固めつつ、先に進んでいくのであった。
結局、日も沈む頃にはなんとか村に着いた。
本当に、疲労困憊だ。
進行方向からややそれた所に村があり、通り過ぎかけていたのは少しやらかしていたな。
そのせいで少しばかり移動距離が増えてしまった。
目測で進んでいるからどうしてもズレるのはしょうがないんだけどさ…
そんな反省も少しだけしつつ、ボロボロの柵のような囲いを跨いで村へと入る。
村へ入る時に木材が折れたが気にはしない。
ちなみに門というか、入口はあるけど遠いから却下だ。
どうせここ廃村だし、誰もいないし…
ちょっとだけ犯罪者的でも問題ないはずだ!
なぁに…問題ないさ。
疲れてるんだ、気分がハイになってる。
…なんて言い訳をすれば許してくれるだろ。
そんな事を頭の中で考えながら村の中を軽く見回ってみる。
勿論、寝床になりそうな場所を探すためだ。
あと、ついでに調査に適してそうな箇所を。
道中の感知ではついぞ異常は見られなかった。
強いて言えば魔力が少しだけ少なくなってる様な気がするけど…これは特に今の所は影響が無い。
おまけに呪いを発しそうな魔法陣も見つからない辺り、魔法的に考えるなら既に魔法陣がなくなっていて今まで呪いの魔法を使ってた影響で大気中の魔力が減っているって所か?
それだとつまり、今は安全って事だが…
引き続き魔法で無い方向を漁るべきだな。
明日はこの村で色々と原因を漁ってみる事にしよう。
今はとにかく休むのだ!
そうやって決意固く、とにかく休養を求めて彷徨い歩く事暫く…
ようやく寝泊りが丁度良く出来そうな家屋を発見した。
「おぉ…」
つい思わず、声が漏れてしまう。
どこの家屋も屋根やら壁やら窓やらがどこかしこ崩れていて吹きさらしの中、ここはしっかりと屋根付き壁付き、窓はヒビ入り程度という良物件だ。
ただ、玄関のドアだけは完全に壊れてるけど…そこは鍵かかかってないと喜ぶことにしよう。
それに他の家屋よりも大きいし、この村で村長的な人が住んでいた所に違いない。
今尚しっかり形を残しているのはきっと、財に物を言わせて立派に建てた結果だしな。
その恩恵を今こうして受けられると思うと、どうしても…ねぇ?
まぁ、贅沢っていいね!って事だ!
…疲れてテンションがおかしくなってきている自覚は、ある。
とにかく、この状態から脱する為には休養が必要なのだ。
という訳でここを今日の宿泊場所にしよう。
さて、壊れているドアを撤去して中に入ると案の定と言って良いのか、視界の先はまぁ豪華なエントランスだった。
こう、模様が入った皿やら壺やらがわかりやすく飾ってある。
まぁベタな豪華な雰囲気を醸し出してる感じだな。
それでいて床は、板が割れてたり地面がむき出しでなく木板張りや石張りがしっかり残っていたりと過ごしやすさは抜群そうだ。
ただ、夕暮れどきで明かりが無いから薄暗くて気味が悪いけど。
幽霊とか出そうな感じだと言えば分かりやすいか。
一応この世界、幽霊とか骸骨ってレイスとかスケルトンなんかの魔物になることがある…らしい。
死者の強い怨念と魔力が必要で、それでも滅多に起こらないらしいけどな。
で、何が言いたいかと言うと…ここは魔力が少ない。
つまりここじゃその心配は無いって事だ。
まぁ明かりが無いと不便だし、何か明かりになりそうな物が無いか探すんだけどさ。
ついでに色々と見て回ろう。
で、壁に掛けてあった燭台から蝋燭を拝借して色々と見て回った結果だが…
ほぼ一年中暑い中で使う用途が分からない暖炉がある食堂とか。
ご丁寧に屋敷やこの村の見取り図やら、同一人物の肖像画や石像がいくつも飾ってある無駄に長い廊下とか。
肖像画そっくりの彫刻が施されたドアとか。
厨房には丁寧に彫り物の施されたかまどがあったし。
ベタな所で言うと、模様付きで用途不明の壺やら皿も飾ってあった。
どうにもここの家主はこういった事が好きらしいと分かった。
…どうでもいいし色々と趣味が悪いな。
いや、頭が悪い…のか?
こんな辺境の村で無駄に見栄を張るとか…
もしここが魔物に襲われてなきゃ、きっと村人に襲われてたんじゃなかろうか?
この村の未来はどう転んでも暗かったという事か…
ちなみにだが、顔は悪くない。
むしろ良い方なんじゃないかな?
本日の寝床を探しつつ、そんな感想を胸中に抱く。
気が付けば外はすっかり日も落ちて月が昇ってきている。
それで、本日の寝床だが…客間があったのでそこを使う事にした。
別に客間を選んだ理由は無い。
ぶっちゃけ、疲労感に負けた形だ。
適当に開けたドアの先が客間で、更にそこが全く使われていた感じでは無かったってだけで決めた。
もう、他の部屋までわざわざ見て回る気力は無い。
そのまま流れるように部屋の窓を開けて荷物を下ろし、武装を外したらそのままベッドに寝転がる。
「ふぅ~…」
ほぼ丸一日感知を使いながら歩き、身も心も消耗し続けてからのベッドの感触は、そりゃあもう心地いい。
埃っぽいとかそういう事を気にする気にさえならない。
とにかく、休めるってことで心も体も癒されていく。
例えるなら…荒野で像の無い女神の泉の水を飲んだ時みたいな心地よさ?
…比較対象が微妙だな、何だかありがたみがググッと減ってきた。
あえて、どっちのとは言わないけど…
…明日、目が覚めたら残念な事になってたりしないよな?
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