23 光の魔法陣
私は椅子に座り、窓から差し込む光を浴びていた。
昼下がりの柔らかな陽射しは、穏やかに肌を温めている。
手には空の魔石。それを握って目を閉じる。
深く息を吸い込み、ゆっくりと吐き出した。はやる気持ちを抑えるように、呼吸を整える。
再び目を開けた時に現れた物は、光の魔石だ。
「数値は……15分で4.5魔力」
ノートに書き込み記録する。
数字の羅列は少しずつ大きくなっていく。
自然エネルギーを浴びる量、時間、石の質、そして私の集中力。
様々な要素が絡み合い、魔石に蓄えられる魔力量は少しずつ変化していく。
「最初の頃より、かなり込められる力が増えたようだけど」
この石ひとつで、この部屋を1ヶ月照らし続けることはできるだろう。
けれど魔石の力としてはまだまだだ。
引き出しに入れられているコレクションの中から、昔は一般的に売られていた光の魔石を取り出した。
あの頃はどこの家にもこの石があった。
見比べてみると、まだ弱い。
「どうすれば増えるのかしら。日差しだけでは足りないのかな」
私は棚に置かれた大きな魔石にチラリと視線を向ける。
赤く輝くこぶし大の石は、あの時のものだ。
――ゴーレムに炎を浴びせられたあの時の。
強力な力を浴びれば、爆発的に魔力量は溜められるだろう。
けれど、あんな怖いことはもうこりごりだ。
私の前に立ちはだかった石の巨体。炎の息を吹き付けられたあの衝撃。
思い出すだけでも足に震えが走る。
安全に、でも効率的に魔石を満たす方法はないだろうか。
手の中の二つの石を握りしめて、昼下がりの光を眺めていた。
「そういえば」
私はテーブルの上のランプに目を移した。
これは注文したランプが届くまでの間、フランツ先生に借りたものだった。
ランプの支柱には4枚の魔法陣が貼られている。
レオンさまが描いた、光の質を変えるものだ。それが剥がされず、貼りっぱなしになっていた。
とても丁寧に描かれた線だ。黒々として少しの迷いもそこにはない。
「光の――質を変える」
光の色、明るさ、届き方。
光はただ周囲を照らすだけではない。魔法陣ひとつで姿を変える。
私はなんとなく魔法陣が描かれた紙を剥がし、陽の光に透かしてみた。
魔法陣の線が、光を浴びてくっきりと浮かび上がった。
「……もしかして」
魔石から光を取り出すことができるのだから。
「光から、魔石に込めることもできるの?」
裏返した紙に透ける魔法陣を眺めながら、そんなことを呟いていた。
その瞬間、私の中で何かが弾けた。
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