表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
婚約破棄された地味令嬢ですが、実は王宮一の補佐でした ~捨てたのは第一王子? いいえ、私は第二王子と国を立て直します~  作者: 紅茶うさぎ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

61/96

第61話 安定の論理

 隣国宰相の退室後、王宮の空気は重く沈んでいた。


 三日。


 それが猶予。


 王族会議はその日のうちに再招集された。


「制裁は現実だ」


 第一王子が口を開く。


 感情は排されている。


「軍も動いている」


 机に広げられた報告書。


 商会損失予測、地方税収減少、物価推移。


「凍結すれば、制裁は解除される可能性が高い」


 淡々と。


「戦争は回避できる」


 貴族たちが頷く。


「改革は後でも可能だ」


 続ける。


「国家が存続してこそ、未来がある」


 正論。


 揺らぎのない理屈。


 レオンハルトは沈黙を保つ。


「弟よ」


 第一王子が視線を向ける。


「民は理想よりも安心を求める」


「安心は、誰かに握られるものではない」


 レオンハルトが静かに返す。


「恐怖に基づく安定は、依存だ」


「依存でも、命は守られる」


 第一王子の声がわずかに強まる。


「戦争になれば、守れない命が出る」


 沈黙。


 室内の空気が揺れる。


「国境の軍は威嚇だ」


「だが威嚇が事故を呼ぶこともある」


 第一王子の視線は鋭い。


「外交は力の均衡で成り立つ」


「力が劣るなら、理を通すべきではない」


 厳しい言葉。


 だが冷酷ではない。


「凍結は屈服ではない」


「時間を買う選択だ」


 理路整然。


 貴族席から声が上がる。


「第一王子殿下の案に賛成」


「民は戦争を望んでいない」


「市場は安定を求める」


 空気が傾く。


 エリシアは静かに状況を見ている。


 確かに第一王子は正しい。


 短期的には。


「凍結は一時的と明言すればよい」


 第一王子が続ける。


「再協議で有利な条件を引き出す」


「焦る必要はない」


 冷静。


 合理的。


 説得力がある。


 国王が問う。


「第二王子の意見は」


 沈黙。


 数秒。


 レオンハルトはゆっくりと立ち上がる。


「兄上の案は合理的だ」


 率直な言葉。


 ざわめき。


「だが」


 視線を巡らせる。


「圧力が成功すれば、次も圧力が来る」


「港湾の次は税制」


「税制の次は外交方針」


「主権は徐々に削られる」


 室内が静まる。


「時間を買う?」


 低い声。


「その時間で、隣国はさらに力を蓄える」


「我々は従属を選ぶ国になる」


 第一王子の目が揺れない。


「従属ではない」


「対等な交渉だ」


「対等?」


 レオンハルトが問い返す。


「軍を国境に集められている状況でか」


 重い沈黙。


 どちらも正しい。


 だからこそ難しい。


「私は凍結しない」


 はっきりと言う。


「代替案で再協議する」


「リスクは高い」


 第一王子が静かに言う。


「承知している」


「民が苦しむ可能性がある」


「だからこそ」


 視線が強くなる。


「新同盟を模索する」


 ざわめき。


「小国との緊急貿易協定」


「制裁の影響を分散」


「同時に隣国へ示す」


「依存していない、と」


 第一王子は数秒沈黙する。


「時間が足りない」


「足りなくても作る」


 室内の緊張が高まる。


 国王が静かに言う。


「二日後、最終評議を開く」


「その場で王位を決める」


 空気が凍る。


 王位争いが、国家危機と完全に重なった。


 会議が解散する。


 廊下。


 第一王子がレオンハルトを呼び止める。


「弟よ」


 低い声。


「私は戦争を避けたい」


「私もだ」


「ならば凍結だ」


「未来を守る」


 視線が交錯する。


 敵意ではない。


 本気の衝突。


「どちらが正しいか」


 第一王子が言う。


「国が決める」


 背を向ける。


 王宮の窓の外。


 遠く、国境方面の空がわずかに霞んでいる。


 恐怖と未来。


 二つの道は、もうすぐ一つに選ばれる。

本話もお読みいただき、ありがとうございました!


少しでも続きが気になる、と感じていただけましたら、

ブックマーク や 評価 をお願いします。


応援が励みになります!


これからもどうぞよろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ