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婚約破棄された地味令嬢ですが、実は王宮一の補佐でした ~捨てたのは第一王子? いいえ、私は第二王子と国を立て直します~  作者: 紅茶うさぎ


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120/120

第120話 それでも均衡は続く

 静かだった。


 あれほどの衝突があったとは思えないほどに。


 風が、ゆっくりと煙を流していく。


 焦げた匂い。


 崩れた石。


 残ったもの。


 そして。


 残らなかったもの。


 レオンハルトは歩く。


 収束点だった場所。


 戦場の中心。


 今はただの空間。


 誰もいない。


 だが。


 確かにここで、すべてがぶつかった。


「……終わりましたね」


 ルークが言う。


 疲労の滲んだ声。


「終わった」


 レオンハルトは答える。


 短く。


 だが。


 完全ではない。


 エリシアが周囲を見る。


「被害報告、まとまりました」


 一瞬。


 言葉を止める。


「……軽くはありません」


 沈黙。


 誰も軽く扱わない。


 第一王子が言う。


「当然だな」


 ガルドも続く。


「全部守れるわけがねえ」


 それでも。


 レオンハルトは言う。


「……減らした」


 小さく。


 だが確かに。


 それは事実だった。


 崩壊は起きなかった。


 全ては救えなかった。


 だが。


 全ては失われなかった。


 エリシアが頷く。


「はい」


 ルークも言う。


「均衡は維持されました」


 第一王子が笑う。


「いや」


 一拍。


「作った、だな」


 ガルドが言う。


「気に入らねえが」


 視線を向ける。


「悪くねえ」


 それは。


 認めたということ。


 完全ではない。


 だが。


 確実に。


 関係は変わった。


 レオンハルトは空を見る。


 赤くない。


 煙も薄い。


 ただの空。


 その下で。


 人が動いている。


 瓦礫を片付ける者。


 負傷者を運ぶ者。


 泣いている者。


 立ち上がる者。


 全てがある。


 止まっていない。


 ルークが言う。


「再編を開始します」


 エリシアも続く。


「支援体制を再構築します」


 第一王子が言う。


「次はどうする」


 その問い。


 だが。


 もう答えは変わらない。


 レオンハルトは言う。


「続ける」


 短い。


 だが。


 それで十分。


 ガルドが笑う。


「終わりじゃねえな」


「終わらない」


 レオンハルトは答える。


 その通りだ。


 均衡は。


 完成しない。


 維持し続けるものでもない。


 その都度。


 作り直すものだ。


 人がいる限り。


 衝突がある限り。


 崩壊の可能性がある限り。


 だからこそ。


 必要になる。


 レオンハルトは一歩、踏み出す。


 前へ。


 終わりではなく。


 その先へ。


 誰も止めない。


 もう。


 分かっているからだ。


 この戦いは終わった。


 だが。


 均衡は。


 続いていく。


 これからも。

ここまで読んでいただき、本当にありがとうございました。


この物語はここで一区切りですが、均衡はこれからも続いていきます。


もし少しでも面白いと感じていただけたら、ブックマークや評価で応援していただけると嬉しいです。


また次の物語でお会いできれば幸いです。

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