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婚約破棄された地味令嬢ですが、実は王宮一の補佐でした ~捨てたのは第一王子? いいえ、私は第二王子と国を立て直します~  作者: 紅茶うさぎ


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第119話 均衡の証明

 流れが、変わった。


 崩壊ではない。


 収束。


 選ばれた一点へと、すべてが引き寄せられる。


「……止まっている」


 ルークが呟く。


 敵の動き。


 さっきまでの連動が、鈍い。


 いや。


 違う。


「流れている」


 エリシアが言う。


「制御されています」


 第一王子が笑う。


「乗せられてるな」


 ガルドも言う。


「完全にだ」


 戦場が、変わる。


 無秩序だった動きが。


 一つの方向に揃う。


 民も。


 兵も。


 敵も。


 同じ流れに乗せられている。


 レオンハルトは前に出る。


 中心へ。


 収束点。


 そこに、外套の男がいる。


 動かない。


 だが。


 流れの中で。


 明らかに異質。


「……止められているな」


 男が言う。


 低く。


 静かに。


 だが。


 その声には、わずかな苛立ちが混じる。


 レオンハルトは答える。


「止めている」


 短い。


 その通りだ。


 崩壊を止めるのではない。


 流れを作り。


 その中に、閉じ込めている。


「お前の構造は」


 男が言う。


「壊すことで最適を作る」


 一歩、踏み出す。


「だが」


 レオンハルトは続ける。


「それは続かない」


 沈黙。


 男は答えない。


 だが。


 視線が動く。


 周囲を見る。


 民が動いている。


 兵が動いている。


 混乱はある。


 だが。


 崩壊はしていない。


 繋がっている。


「……非効率だ」


 男が言う。


「そうだ」


 レオンハルトは認める。


「だが」


 一歩。


「消えない」


 その一言。


 空気が変わる。


 男の目が細くなる。


「壊すことで最適を選ぶ」


 レオンハルトは言う。


「だがそれは」


 一瞬。


「残らない」


 静寂。


 その言葉は。


 思想そのものへの否定。


 男が言う。


「……残る必要はない」


「ある」


 レオンハルトは言い切る。


「人がいる限り」


 沈黙。


 そして。


 流れがさらに強まる。


 敵が押される。


 だが倒れない。


 逃げ場がない。


 流れの中に固定される。


「……閉じたか」


 男が呟く。


 その声に。


 初めて。


 明確な理解が混じる。


 ルークが言う。


「完全に制御下です」


 エリシアが続く。


「崩壊は止まりました」


 第一王子が笑う。


「勝ちだな」


 ガルドも言う。


「……認めるしかねえ」


 レオンハルトは言う。


「終わりだ」


 短い。


 男は動かない。


 ただ。


 しばらく。


 考える。


 沈黙。


 長い。


 だが。


 やがて。


「……なるほど」


 低く。


 そして。


 わずかに笑う。


「成立している」


 その言葉。


 敗北の承認。


 だが。


 完全な否定ではない。


「今回は」


 一瞬。


「お前の均衡が勝った」


 レオンハルトは何も言わない。


 ただ。


 前を見る。


 男はゆっくりと後退する。


 流れに逆らわず。


 そのまま。


 消える。


 追わない。


 必要がない。


 戦いは終わった。


 完全ではない。


 だが。


 確実に。


 均衡は。


 成立した。

ついに決着です。


王は“壊さずに勝つ”ことを証明しました。


そして次話――最終話。

この世界がどう残るのかを描きます。


面白いと感じていただけたら、ぜひブックマークと評価で応援していただけると嬉しいです!

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