表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
婚約破棄された地味令嬢ですが、実は王宮一の補佐でした ~捨てたのは第一王子? いいえ、私は第二王子と国を立て直します~  作者: 紅茶うさぎ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

117/120

第117話 均衡の限界

 ――ぶつかった。


 音ではない。


 圧だ。


 空間そのものが、歪む。


 前方。


 黒い影が押し寄せる。


 後方。


 東方軍が踏み込む。


 左右。


 民と兵が混ざり、揺れる。


 中心。


 すべてが交差する。


「……維持しろ!」


 ルークの声が飛ぶ。


 命令が走る。


 流れを整える。


 崩れかけた線を、無理やり繋ぐ。


 エリシアが叫ぶ。


「北側、押されています!」


「南側、避難未完了!」


 第一王子が笑う。


「いいな」


「全部来てる」


 ガルドが怒鳴る。


「押し返せ!」


「列を崩すな!」


 だが。


 追いつかない。


 量が違う。


 圧が違う。


 レオンハルトは動いている。


 止まらない。


 一点ではない。


 全体を見る。


 流れを見る。


 崩れる場所を補強する。


 だが。


 間に合わない。


 その時。


 叫びが上がる。


「崩れた!」


 西側。


 列が割れる。


 民が押し合う。


 恐怖が連鎖する。


 均衡が揺れる。


 ルークが叫ぶ。


「補填を――!」


「無理です!」


 エリシアが即答する。


「他が持ちません!」


 第一王子が舌打ちする。


「一箇所守れば他が死ぬな」


 その通りだ。


 選択は終わっていない。


 むしろ。


 今も続いている。


 その時。


 前方。


 黒い外套の男が、動く。


 一歩。


 それだけで。


 流れが変わる。


 敵が押す。


 一気に。


「……来るぞ」


 ガルドが言う。


 レオンハルトは前に出る。


 止める。


 だが。


 重い。


 今までと違う。


 押される。


 一歩。


 下がる。


 その瞬間。


 空気が変わる。


 均衡が、崩れかける。


「……まずい」


 ルークが呟く。


 エリシアが言う。


「中心が押されています」


 第一王子が言う。


「ここが割れたら終わりだな」


 レオンハルトは踏み止まる。


 だが。


 背後で。


 別の声。


「助けてくれ!」


 振り向く。


 民が倒れている。


 押し潰されている。


 その先では。


 さらに炎が上がる。


 同時。


 複数。


 全部は無理だ。


 分かっている。


 それでも。


 体が動く。


 一歩。


 だが。


 その一歩が。


 中心の均衡を揺らす。


 ルークが叫ぶ。


「陛下!」


「動かないでください!」


 エリシアも言う。


「ここを離れれば崩れます!」


 沈黙。


 一瞬。


 だが長い。


 レオンハルトは止まる。


 振り返る。


 倒れている民。


 伸ばされた手。


 届かない距離。


 そして。


 目の前。


 崩れかけた均衡。


 第一王子が言う。


「選べ」


 短い。


 残酷なほど。


 ガルドも言う。


「全部は無理だ」


 知っている。


 分かっている。


 それでも。


 レオンハルトは言う。


「……維持する」


 短い。


 だが。


 その選択。


 背後で。


 叫びが消える。


 静かに。


 一つ。


 命が。


 途切れる。


 沈黙。


 エリシアが目を閉じる。


 ルークが歯を食いしばる。


 第一王子が言う。


「それでいい」


 低く。


 重く。


 レオンハルトは動かない。


 ただ。


 前を見る。


 均衡。


 崩さない。


 だが。


 その代償は。


 確実に積み上がる。


 外套の男が言う。


「それだ」


 静かな声。


「お前は」


 一瞬。


「遅い」


 その言葉が。


 深く刺さる。


 均衡は維持されている。


 だが。


 限界だ。


 次の一手がなければ。


 必ず崩れる。

均衡は維持されました――ですが、限界です。


ここから王は「最後の選択」を迫られます。


面白いと感じていただけたら、ぜひブックマークと評価で応援していただけると嬉しいです!

次話はいよいよ最終決断です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ