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婚約破棄された地味令嬢ですが、実は王宮一の補佐でした ~捨てたのは第一王子? いいえ、私は第二王子と国を立て直します~  作者: 紅茶うさぎ


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第107話 構造の破壊者

 ――全員が動いた。


 黒い外套の男が手を上げた、その瞬間。


 空気が裂ける。


 突撃。


 連動。


 さっきまでとは明らかに違う。


「……統制が変わった」


 ルークが低く言う。


「指揮が入った」


 第一王子が笑う。


「いいじゃねえか」


「分かりやすい」


 レオンハルトはすでに動いている。


 前へ。


 迷いなく。


 敵の中心へ。


「無茶だ!」


 第一王子が叫ぶ。


 だが止まらない。


 エリシアが言う。


「……違う」


「狙っています」


 その通りだった。


 レオンハルトは一直線に進む。


 周囲の敵は避ける。


 無駄な戦闘はしない。


 ただ。


 一点。


 あの存在へ。


 黒い外套。


 動かない。


 だが。


 全てを動かしている。


「止める」


 短い。


 その一言で、空気が変わる。


 敵が集まる。


 守るように。


 つまり。


「やはり核だな」


 第一王子が言う。


 ガルド側も気づく。


「囲め!」


 叫び。


 連携が成立する。


 民と王が。


 同じ標的を見ている。


 その瞬間。


 外套の男が、わずかに動いた。


 手を下ろす。


 それだけで。


 敵の動きが変わる。


 退く。


 整然と。


「……切り替えた」


 ルークが呟く。


「無理に守らない」


 エリシアが言う。


「役割を持っている」


「消耗しない構造です」


 つまり。


 単なる戦闘ではない。


 システムだ。


 レオンハルトは止まらない。


 距離が縮まる。


 あと数歩。


 その時。


 足元が爆ぜた。


 爆発。


 視界が白くなる。


「陛下!」


 ルークの声。


 だが。


 レオンハルトは止まらない。


 煙の中を抜ける。


 そして。


 目の前に立つ。


 黒い外套。


 近い。


 顔は見えない。


 だが。


 気配が違う。


 静かだ。


 感情がない。


「……誰だ」


 レオンハルトが言う。


 外套の男は答えない。


 ただ。


 首をわずかに傾ける。


 観察している。


 その視線。


 人ではない。


 評価している。


 対象として。


 その瞬間。


 レオンハルトは理解する。


「……道具か」


 低く。


 外套の男は、わずかに動きを止める。


 初めての反応。


 ルークが叫ぶ。


「どういうことです!」


 レオンハルトは言う。


「こいつは指揮しているようで」


 一歩踏み込む。


「指揮されている」


 沈黙。


 エリシアの目が開く。


「……中継点」


 第一王子が言う。


「操り人形か」


 外套の男が、わずかに後退する。


 そして。


 手を上げる。


 今度は違う。


 敵が一斉に動く。


 爆発的に。


 逃がすために。


「逃がすな!」


 ガルドが叫ぶ。


 だが。


 煙。


 爆発。


 視界が消える。


 気配が消える。


 完全に。


 ルークが舌打ちする。


「……逃げられた」


 第一王子が笑う。


「面白くなってきたな」


 エリシアが静かに言う。


「……これは」


「単独の侵略ではありません」


「はい」


 ルークが答える。


「構造破壊です」


 短い。


 だが重い。


 レオンハルトは言う。


「均衡を壊すための」


 一瞬の沈黙。


「戦争だ」


 誰も否定しない。


 その時。


 遠くでまた爆発が上がる。


 まだ終わらない。


 むしろ。


 始まったばかりだ。


 そして。


 見えない場所で。


 本当の敵が、笑っている。

敵の正体が見えてきました。


これはただの侵略ではなく、“均衡そのものを壊す戦い”です。


面白いと感じていただけたら、ぜひブックマークと評価で応援していただけると嬉しいです!

次話もお楽しみに。

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