第八四羽 首輪をつけた三毛猫編
結果発表が行われた。
得点によって紅団、蒼団、黄団の順となった事が発表されて大きな歓呼の声が長い間、響き渡った。
紅団の連中は団長である武田の元へと集まると彼女を胴上げするために持ち上げるのだった。
宙を舞う彼女はとても恥ずかしそうだったがこの上なく嬉しそうに見えた。
タンチョウも彼女を宙へと上げる一人だった。
閉会式が行われて各団の団長はそれぞれに相応しいものを手に入れた。
後片付けを始めた頃、ようやくタンチョウはキセキレイを捕まえた。
「仕事ってなんだ? 俺にやって欲しいって言ってただろう?」
「もう終わってるー」
「どういうことだ?」
「まあ、わたしはあいつが蒼団にいると分かってたからね。それで選手リレーの走者であるって事も。だから、容赦なくぶっちぎっちゃってっていうつもりだったの」
「そうか」
「まあ、わたしとカッコウも一仕事したから。今回は大変だったよ」
「なにしたんだ?」
「うん?」
タンチョウが尋ねるとキセキレイはニヤッと笑って口元に人差し指を立てると優しい口調で呟いた。
「ひみつ」
タンチョウは笑うしかなかった。
異なる団に所属している2人がイスを運ぶ様は異様にも見える。
混雑する玄関を予想して2人は少しの間だけ団席の方で話をしていた。美鶴はそんな2人を遠巻きに見ていた。彼女は玄関の辺りで混雑が最小限になるように整理している。
ようやく混雑も収まり始めて手が空いた美鶴は自分のイスを回収しに団席へと戻った。今日の体育祭では一度もこのイスに座っていない。
ぽつんと残されて夕暮れに斜めに影を伸ばしていくイスを不憫に思うとドッと疲れが湧いてきたような気がした。
持ち運ぶのも億劫で誰かが持ってくれればいいのになどと多少投げやりな考えを持ちながら玄関の方を見るとキセキレイが先に入っていくがイスはまだ残されていた。すぐに戻ってくるつもりなのだろう。
残ったタンチョウはまだ混雑を回避するためにグラウンドに残っている。
美鶴は海原で降り立つ島を見つけた鳥のような気持ちでタンチョウを眺めると歩く気が起きた。イスを持ち上げて近づいて行く。
「優勝おめでとう」
美鶴はそう言ってタンチョウの傍にやって来た。




