↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
俺YOEEE!〜最強種族たちに愛でられまくる異世界転生ってアリですか〜  作者: うらねこ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
4/26

第4話 俺、巨人のお姉さんに膝枕される


 俺は巨人族の城の中の、貴賓室に招き入れられた。そして、その地点でもう、体力が尽きた。


 というのも、移動するために「抱っこしますよ」とか言われたが、めちゃくちゃ怖かったので、頑張って歩いた。


 しかし、とにかく、全てがでかい。それだけ道も広く、移動距離が長いということだ。

 リュネはズシン、と少し歩いては、俺を振り返って、追いつくのを待ってくれた。


「ゆっくりでいいですよ」


「すみません、チビで……」


「……かわいい」


「え?」


「何でもありません」


 こんな調子だった。リュネは終始ニマニマしていた。


 やっとのことで貴賓室に到着したものの、赤い絨毯の大地、巨大な建造物のような椅子を見て、途方に暮れた。


 リュネはそんな俺を見るなり、深緑色の、巨人用の座布団みたいなものを用意してくれた。


 俺でもよじ登れる高さだし、表面も程よくふわふわで歩きやすい。

 俺はとりあえず、座布団の真ん中にあぐらをかいておくことで、ようやく落ち着けた。


 いよいよ猫の気持ちがわかってきてしまった。

 これは、なんか、地面も近いし、真ん中が窪んでて落ち着くのだ。



 リュネは着替えも用意してくれた。

 用意されたのは、白いチュニック風の上衣に、ゆったりしたズボン。それから、柔らかそうな革靴だった。


 どうやら王家に来客があった時のために用意されている、他種族向けの服らしい。

 着てみると、サイズは少し大きいくらいだった。まあ、RPGで最初の村にいる村人Aという感じの服だ。

 とりあえず、窮屈なスーツを脱げたのは嬉しかった。



 それからリュネは、俺に話しかけてきた。



「暑くありませんか?」


「大丈夫です」


「寒くありませんか?」


「……大丈夫です」


「湿度は」


「大丈夫です」


 リュネは事あるごとに心配して話しかけてくる。

 俺はそこまで他人に気にかけられる事も普段ないので、落ち着かなかった。


 そのとき。


 ぐう


 腹の虫が鳴った。

 大きめに。


 リュネは、はっとして青ざめた。


「い、い、い、今のは……!?」


「いや、腹減ってるだけです」


 リュネはほっとした顔をして、すぐに食事を用意してくれた。


 本日のメニューは以下である。

•シングルベッドくらいある肉(なんの肉だよ)

•サラダ(ほぼ森)

•スープ(ほぼ湖)

•パン(ほぼ岩)


「ええと……とってもありがたいですが……まず、パンはこれくらいで大丈夫です」


 端からパンをひとかたまり千切る。


「それだけ?」


「はい」


 パンを一口かじった。少し固めの本格的なタイプだったので、なかなか飲み込めなかった。

 ひたすらモチャモチャ噛んでいると、リュネがじーっと見てくる。


 何だかものすごく嬉しそうだ。


 ずっと見られて落ち着かなかったが、俺はありがたく、たらふく頂いた。


***


 食事が終わる頃には、どっと疲れが出てきた。


 考えてみれば当然だ。


 転生してチート貰えたと思ったら事故に遭ってて、おっさん巨人に拾われ、持ち上げられ、死ぬほど歩き、巨人美女にお世話され。


 一日分どころか、一年分くらい疲れている。

 俺が大きく息を吐くと、リュネが顔を覗き込んできた。


「疲れましたか?」


「まあ……たぶん寝不足です」


 リュネは辺りを見回す。


「困りましたね……ちょうどいい寝床が……」


「座布団でいいですよ、落ち着くし」


「だめですよ、お客様にそんな」


 リュネは少し考えたあと、その場にそっと腰を下ろした。そして、脚をゆっくり横へ流して座ると、自分の太腿を軽く叩いた。


「こちらへ」


「はい?」


「横になってください」


「……どこに?」


 リュネが自分の膝を指す。


 俺は見上げた。

 なだらかな布地の丘が二つ、目の前にある。


「…………」


 膝……。


 これ、膝だ。

 十五メートルある綺麗なお姉さんの、膝。


「いやいやいやいや」


「どうしました?」


「それはちょっと」


「硬くありませんよ」


「硬いとかそういう問題じゃなくて」


「疲れているのでしょう?」


「まあ……」


 リュネが首を傾げる。

 というより、お客様を座布団で寝かせるのは嫌がるのに、膝枕はいいのかよ。もしかすると……。


「嫌ですか?」

  

 膝に乗せたかったりするのだろうか……。

 なんて、調子に乗ってきてる自分に寒気がしてきた。

 

 ちなみに、そりゃ、


「嫌では……」


 ない。


 それが困る。


 俺、独身、三十一歳。彼女いない歴イコール年齢。


 女性に膝枕をしてもらった経験など、当然ない。

 それが転生初日に、十五メートルの美女相手に実現しようとしている。


「落としませんよ」


 リュネがそっと手を差し出した。

 

「乗れますか?」


「……自分で行きます」


 巨大な手を足場代わりにして、恐る恐る膝へ上がった。

 高くて怖いが、リュネは俺が転ばないように、もう片方の手を壁のように添えてくれている。


「ゆっくりで大丈夫ですよ」


「どうも……」


 やがて太腿の上に辿り着き、横になる。


「…………」


 柔らかい。


 温かい。


 巨大すぎるせいで膝枕というより、ものすごく上質なベッドに寝ている感覚に近かった。


「どうです?」


「……思ったより、快適です」


「よかった」


 リュネが嬉しそうに笑う。

 その顔が、ずっと上の方にある。

 信じられないくらいに綺麗な顔が、月明かりに照らされていた。


 女神様みたいだ。

 見たこともないのに、俺はふと、そんなことを思った。


「…………」


「どうしました?」


「いや」


 俺は目を閉じた。


「異世界、悪くないかもしれない」


「何か言いました?」


「何も」


 頭の上を、リュネの指先がそっと撫でた。

 人差し指一本なのに、俺の頭がほとんど隠れる。


「ちょ」


「痛かったですか?」


「いや……大丈夫です」


「よかった」


 もう一度、今度はさらに優しく撫でられる。


「…………」


 これ……完全に猫だ。


 でもまあ……今日はもう、猫でもいいかもしれない。

 諦めて目を閉じると、眠気が一気に押し寄せてきた。


「おやすみなさい、人間さん」


「名前あるんですけど……」


「では、教えてください」


「……佐久間 直人……」


 そこまで言ったところで、意識が落ちた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。