第24話 俺、みんなを応援する
ともかく、メイランの口添えで仮説を補強した俺は、かくかくしかじかの手続きを経て、人魚の国の長に事情を説明した。
人魚の長は、はじめこそ国防上の理由から協力を拒んだものの、ミーナの説得もあり、巨人族と妖狐族が万全の備えをすることを条件に、海底遺跡の装置を起動してもらえることになった。
そして、何が起きたか。
一言で言うと。
「でっか」
海が大きく盛り上がり、山みたいな巨大な影が水面を割った。
そこから現れたのは、巨人すら小さく見えるほどの、超絶巨大なイカの化け物。
そう、クラーケンだった。
そこから始まったのは、まさに壁画そのものの壮絶なバトルだった。
人魚たちが歌で威嚇し、妖狐たちが船の上から術を飛ばし、巨人たちがビルみたいにでかいモリで突きまくる。
そして俺は。
「みんなーーー!! がんばれーーーー!!」
遠くから応援していた。
最終的にクラーケンは、なんやかんやで仕留められた。正直、俺には途中から、何が起きているのか分からなかった。
***
問題は、そのあとだった。
「これ、どうやってガルガンまで運ぶんです?」
目の前には、山と見まごう大きさの、水揚げされたクラーケン。
当然、海とガルガンを結ぶ転移ポートに収まるようなサイズではない。
「運べばいいんじゃない?」
「誰が?」
「巨人」
「いやいやいや」
リュネたちが強いのは知っている。でも、さすがにこれは無理だろう。
そう思った、その時だった。
「運ぶの?」
「…………」
真上から、聞き覚えのある声がした。
反射的にぞわりとして、顔を上げる。
妖精である。
何人も……いや、数十人はいる。
「うわ……なんでいるの?」
思わずそう聞くと、妖精たちは一斉にくすくす笑いだした。
本当に嫌だった。
一人の妖精が答える。
「面白そうだから」
「どこから聞きつけたの!?」
「ずっと見てたよ」
「怖い怖い怖い」
妖精たちは楽しそうに笑いながら、クラーケンの周囲を飛び始めた。
「これくらいならいけるかな」
「これくらい?」
「うん」
「せーの」
次の瞬間、空に巨大な魔法陣が広がった。
「待って待って待って」
クラーケンの巨体が、ふわりと浮く。
「いや、できるんかい!!!!」
無力な俺のツッコミが、空に響いた。




