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俺YOEEE!〜最強種族たちに愛でられまくる異世界転生ってアリですか〜  作者: うらねこ


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第23話 俺、狐美女と一杯やる

 ワンフェンションホン屋の店内は、蒸気で満ちていた。出汁のような匂いが、どこか懐かしかった。

 狭いカウンターの一番奥には、黒衣の女が座っている。


「あの…」


 俺は、女に声をかけた。


「お久しぶりだね、人間さん」


 振り向いたその頭には、狐の耳が二つ、ぴょこんと生えていた。

 


***


 カウンターの前には、でかい横長の什器が置いてあり、中は、アツアツの出汁みたいなもので満たされていた。

 その中に、魚介っぽい練り物や、串に刺されたすじ肉っぽいもの、卵などが沈んでいた。具を注文して、狐店主がそれをサーブしてくれる方式だった。


 まあ要するに、おでんだ。

 そりゃ、懐かしい気持ちにもなるはずだっ

た。


「ま、とりあえず座りなよ。何頼む?」


「おすすめで……」


 そして俺の前に、おでんもとい、ワンフェンションホンの盛り合わせがやってきた。

 店主が謎の気を利かせて渡してきたお猪口に、メイランが酒を注いだ。


 美女と一杯。

 願ってもないリベンジだったが、俺の心は、浮かれてはいなかった。


 メイランは卵のワンフェンションホンをつつきながら言った。


「よくわかったね、私がここにいるって」


「……逆でしょう」

 

 メイランの手が止まる。


「……どうしてそう思う?」


「……なんとなく」


「ふうん」


 メイランはカラシの瓶を手に取った。


「私があんたを、待ってたって?」


「そう言われると、おこがましいですが……」


 メイランは飄々と笑いながら、卵にカラシをのせる。

 俺は目を逸らさずに言った。


「まだ俺を、試している……そんな気がして」


「……まだ?」


「全部知ってたんじゃないですか?結局……はじめから」


 メイランは動きを止め、ゆっくり俺に目線を向けた。


「なんでだい?」


「まず、古龍の書いてあった絵巻。あれは、俺が見つけた物ではないです」


「他の女官かもよ?」


「いいえ。あの紙は……古すぎた」


「……」


「普通の女官が、軽々しく触れるような物じゃ、ない気がして……推理と言うには、お粗末ですけど」


「ふうん。面白いね」


 メイランはさらにもう一杯カラシを匙に乗せ、卵に乗せた。


「……それだけじゃない。俺が見る限り、他のどの役人に対しても、完全にタメ口だったし、緊張するそぶりもなかった」


 店主が黙って、メイランの前のカウンターにカラシの瓶を追加した。


「俺の勝手な想像ですけど……メイランは、国境への使いという立場は、いかようにも用意できた。その上で、俺を試してた……のかなって。リュネとも引き離したのも、俺がどんな人間か、例えば……昔の、勇」


「人聞きの悪い、私もそこまで意地悪じゃあないよ?」


 メイランは俺の話を遮ると、カラシを山のように乗せた卵を豪快に、一口で頬張った。


「たぶんね」


 そしてにやりと、底の知れない笑みを浮かべた。


 これ以上はまずいと、なんとなく察した。俺も、危機察知能力だけは上がっているのかもしれなかった。

 俺は、俯いて、次にタコ串を持って、聞いてみた。


「すみません……じゃあ……儀式については」


「まあ、大体、あんたの思ってるので、正しかったと思うよ」


「思うって」


「古龍と古狐の昔話……信じるかはあんた次第だけどね」 


 メイランは、2個目の卵にカラシを乗せた。


「ま、やるなら助太刀くらいするよ」


「本当ですか!?でも……俺個人のために、そんな」


「妖術の研究のためとか理由つけるから」


「……メイランさんってほんと……何者なんですか……?」

 

「あんた、私の話をしに来たのかい?」


「いや……」


「ま、なんだろね……ちょっとほっとけないんだよ、あんた」


 メイランは悪戯っぽく笑った。結局はぐらかされてしまった。


「でも、あんたは一途みたいだからねえ、ちょっかいはかけないでおくよ


「はあ」


「どうなんだい、巨人の王女様とは」


「まあ、大きさ的には完全ペットですけど……」


「ペットでもいいじゃないか。心が通えばいいんだよ」


「いいこと言いますね」


「だろう?」


 メイランは本日4個目の卵を口に放り込んだ。 俺はふと、最後に一つだけ、聞いてみた。


「初めて会った日……あなたについていってたら、どうなってました?」


 その返事はなかった。それ以上は、俺はなんだか恐ろしくて聞けなかった。

 俺はお猪口の酒をくいっと飲んだ。甘く深く、でも少し、ほろ苦い味がした。


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