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俺YOEEE!〜最強種族たちに愛でられまくる異世界転生ってアリですか〜  作者: うらねこ


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第21話 俺、再会する


「ごめんなさい!!!」


「許さぬ!!!」


 古龍の爪が振り下ろされた、その時だった。

 パキン、とガラスが割れるような音が響いた。


「……え?」


 恐る恐る目を開けると、俺の身体は薄い光の球体に包まれていた。


「ぬう、守護魔法か……」


 古龍の巨大な爪は、俺の目の前で止まっている。


 その瞬間、胸元で何かが崩れる感触がした。


 見ると、首から下げていた白い石のペンダントが、粉々に砕けていた。


「……リュネ……」


「小賢しいわ!」


 古龍は爪を引くと、今度は大きく口を開いた。

 ずらりと並んだ牙の奥で、赤い炎が渦巻いている。


「ちょ、待っ――」


 凄まじい熱が押し寄せ、全身を照らした。

 俺は無意識に、あの日のことを思い出していた。


 トラックのクラクション。


 目の前いっぱいに広がった、白いライト。


 死。


 あの時と同じものが、また目の前まで迫っていた。


 二度目の死を覚悟して、俺は目を瞑った。

 その時、瞼の裏に浮かんだのは、一つの約束だった。


「絶対、戻ってきますから」


 結局、果たせなかったな。

 そう思った瞬間。


 ドン、と遠くで低い音が響いた。


「……?」


 次に気づいた時、俺の身体は宙に浮いていた。


 いや、違う。


 何かに包まれている。そしてふわりと、甘い匂いがした。


「……心配しましたよ」


 聞き覚えのある声だった。


 俺はゆっくり顔を上げる。


 そこには、潤んだ目で俺を見下ろす巨人がいた。


「……リュネ」


 リュネは、俺を両手で包むように抱えながら、にこりと微笑んだ。


 その顔が、古龍の炎に赤く照らされる。


 次の瞬間、少し離れた場所から凄まじい爆発音が響いた。ついさっきまで俺がいた場所に炎が叩きつけられ、爆風でリュネの長い髪が大きくたなびく。


 それでも、俺を包む手だけは少しも揺れなかった。


***


 改めて見ると、リュネの姿はひどいものだった。


 白い服は泥と砂で汚れ、長い桃色の髪も乱れている。腕には、細かな傷までついていた。


「リュネ、なんで……」


「メイランさんから、古龍の山へ向かったと聞いて」


「……メイランから?」


「ええ。東方には何度も問い合わせていたのですが、なかなか居場所が分からなくて……」


 そこまで聞いて、ようやく分かった。

 俺を探して、ここまで来てくれたのだ。


「……すみません。勝手にいなくなって」


「よかった、生きてて」


 リュネはそう言って、ゆっくりと大きく息を吐いた。


 その顔を見た瞬間、張りつめていたものが切れたみたいに、全身から力が抜けた。


「会えてよかったです」


 リュネが、少しだけ目を見開いた。


 それから、いつものように優しく笑う。


「……私もです」


「……巨人族?」


 背後から声がした。


 振り返ると、古龍が不思議そうにリュネを見ていた。その声は、さっきまでの殺気が嘘みたいに、すっかりヨボ爺へ戻っている。


「そうか、お迎えか……」


「そこからかよ!」


***


 それからどうにか、リュネがお迎えではないことを古龍に説明した。ついでに、俺がここへ来た経緯や、さっきまで普通に会話していたことも説明しておいた。


「……ワシ、そんなことしたかのう」


「しましたよ。めちゃくちゃしましたよ」


 さすがに悪いと思ったのか、古龍は詫び代わりに俺たちを麓まで送ってくれることになった。


 古龍の背中に跨って空を飛ぶ。


 そんなファンタジー感満載の展開を少し期待したのだが、安全上の理由で、俺は懐かしの緑のポシェットにしっかりと詰められた。


「またこれか……」


「落ちたら危ないですから」


「分かってますけどね……」


 気分としては、ジェットコースターに持ち込まれた荷物である。


 俺は若干グロッキーになりながらも、なんとか無事に麓へたどり着いた。


***


「ありがとうございました、古龍さん」


 地面へ降りると、リュネが古龍へぺこりと頭を下げた。


 古龍はそんなリュネをじっと見つめると、懐かしそうに目を細めた。


「懐かしいのう……巨人族か……」


「リュネ、会ったことあるんです?」


「いえ……私はありません」


 古龍は遠い昔を見るように、空へ目を向けた。


「昔、祭りをやっとった」


「古龍の言う昔って、どんくらいだよ……」


「巨人や、妖狐や……いろんな連中が集まっての」


「へえ……昔は仲良かったのかな」


「歌ったり、踊ったり」


「うふふ。なんだか楽しそうですね」


「でっかいクラーケンを焼いての」


「イカ焼き的なね」


「皆で食うて」


「素敵ですね」


「酒を飲んで」


「お酒も出るんだ」


 古龍はそこで少し考えるように目を細めた。


「その後、空がひらけて、綺麗じゃった」


「……え?」


 俺とリュネの動きが止まった。


 山の麓を、風だけが静かに吹き抜けていく。


「今、なんて?」


 俺は古龍を見上げた。


 ずっと探していた何かが、頭の中で一つにつながりかけていた。

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― 新着の感想 ―
ヨボヨボおじいちゃんなのに、巨人族の娘を背負って飛べるとは流石…。
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