↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
俺YOEEE!〜最強種族たちに愛でられまくる異世界転生ってアリですか〜  作者: うらねこ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
15/26

第15話 俺、関所?を通る


「次の方」


「はい」


「通行証を」


「ないです」


「身分証は?」


「それもないです」


「…………」


 受付の狐耳の男が、俺を見た。


「種族は」


「人間です」


「…………人間?」


「はい」


 男はしばらく固まったあと、奥へ消えた。


「前例がないんだろうねえ」


 メイランはのんびりしている。

 数分後、さっきの男が戻ってきた。


「前例なしのため、人間(自称)で登録します」


「自称て」


***


「次は、身体検査を」


「身体検査?」


「両手を上げて」


「はい……」


 今度は狐耳の女が、俺の腕や背を軽く触って確認していく。

 メイランは横で楽しそうに眺めていた。


「助けてくれません?」


「正式な手続きだからねえ」


「絶対楽しんでるでしょ」


「まさかあ」


 そうは言っているが、顔が完全に楽しんでいた。身体検査が終わると、また紙を渡される。まだ終わりではないという事実に、ため息が漏れた。


「こちらに確認印を」


「はあ、印?」


「なければ、前足を」


「……」


 とりあえず、右手に朱肉をつけて、押した。


***


「……やっと終わった」


 関所を抜けた頃には、完全にへとへとだった。


「はっはっは」


 疲れ切って朱肉まみれの俺が面白かったのか、メイランが大口を開けて笑った。


 そのまま少し歩くと、関所の喧騒もだんだん遠ざかっていった。

 道の両側には乾いた草が生え、遠くには低い山が見える。メイランはさっきまでと変わらず、ゆったりした足取りで俺の隣を歩いていた。


 そして、ふいに笑った。


「やっと二人だね、人間さん」


「……え?」


 俺は足を止めた。

 なんとなく、後ろを振り返った。


「…………」


 そこには、何もなかった。

 門も、高い壁も、狐耳の兵士も、書類を積み上げた受付も、何も。

 

 ただ、荒野の一本道がどこまでも続いているだけだった。


「……は?」


 もう一度、辺りを見回す。確かにさっきまで、そこに関所があった。


 リュネとは、その門の前で別れた。はっと首元へ手をやると、白い石は、ちゃんとそこにあった。


 なのに。


「…………」


 俺は、ふと右手を見た。

 まっさらで、汚れひとつなかった。


 背中に、ぞわりと寒気が走った。


 俺はゆっくり前を向いた。メイランは少し先で立ち止まり、いつもと変わらない笑顔でこちらを見ていた。


「どうしたんだい?」


「……いや」


 俺はもう一度、何もない荒野を振り返った。

 帰り道すら分からない。


 今ここにいるのは、俺と、妖狐だけだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。