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追放された伯爵令嬢、生命をつなぐ禁忌魔法で覚醒したら冷酷な辺境伯令息に溺愛されています  作者: 積と和〝
第1章 追放と囲い込み

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第2話 セレスティアのスキルと襲撃

数日後のモップノ伯爵家。

セレスティア嬢の今後について父と俺、セレスティアとその両親で話をした。


両親はセレスティアが今日にも辺境伯領へ行くことを許した。

王命である以上に追放された娘を1日も置いておきたくないのだろう。


特に継母は、明らかに厄介払いができて清々しているのがわかる。


ーーー


王都を離れ、辺境伯領へ向かう馬車の中。


沈黙が続く。

「……」

セレスティアが緊張のあまり手が震えている。


「無理に喋る必要はない」


「……え」


「顔に出ている」


「っ……!」

思わず顔を伏せる。


「……震えているな」


少し間を置いてから、毛布を渡す。

「使え」


ーーー


「……あ、ありがとうございます」


(……優しい?)


いや、違う。

声音は終始、事務的だった。


「……あの」

少しだけ勇気を出す。

「……あの、本当にご迷惑ではありませんか?」

小さく、遠慮がちにそう言う。


「気にするな。押し付けられたのはお互い様だ」


「ですが……私は婚約を破棄された身で……その、評判も……」

これ以上言葉が出ない。


「噂なんて当てにならない。……昨日、それを確認した」


「え……確認?」


「いや、こっちの話だ」

「それより、お前のスキルの話だ」


「……植物の成長促進、です。とても狭い範囲でしか使えず、戦闘にも向きません」

あまり人に言えるようなスキルではない。少し自嘲気味に笑った。


「使ってみてくれ」


「え?」


ーーー


馬車が一時停止したタイミングで外へ出る。

街道の脇には、枯れかけた草が広がっていた。

「ここでいい。やってくれ」


セレスティアは戸惑いながらも、そっと手をかざす。

「……いきます」


光が広がる。


次の瞬間――


草が、伸びる。

いや、“伸びすぎる”。


一瞬で。

あり得ない速度で。


花が咲き、広がり、


そして――


周囲の空気が、わずかに揺らいだ。


「…………」

言葉が出ない。

(なんだ、今のは)

成長、ではない。


もっと別の――


「や、やっぱりこの程度で……」


「いや」

即座に否定する。

「それ、全然“弱いスキル”じゃない」


セレスティアが戸惑ったようにこちらを見る。


「少なくとも、俺は知らない」

それだけ言った。


「……え?」


馬車を降りた御者が足元を確認して不思議そうに首を傾げている。

「足が……膝が……?」


ーーー


そのときだった。


「……来るな」

俺は小さく呟いた。


「え?」


「馬車に戻れ。すぐに」

気配がある。

しかも複数。


「で、でも……」


「いいから行け」

強めに言うと、セレスティアは頷いて馬車へ戻った。

俺はその場に残る。

そして――気配を消した。


森の中。

黒ずくめの男たちが、周囲を探っている。

「おかしい……馬車はこの辺りのはずだ」

「慌てるな、貴族令嬢などすぐ見つかる」

――セレスティア狙いか。オレもいるんだが。


俺は静かに背後へ回り込む。

気配は一切悟られない。


「なっ――」

一人目の意識を刈り取る。

音もなく崩れ落ちた。

「どうした?」

仲間が振り向くが――遅い。

二人目、三人目。

一瞬で片付けた。

「……雑魚だな」

軽く息を吐く。


これが俺の特殊スキル《忍び》。

単独でも戦闘で十分に使えるが、固有スキルの「剣士」と合わせてかなりの性能を発揮する。

馬車へ戻ると、セレスティアが不安そうにこちらを見ていた。

「シャワード様……今のは……」


「ヴァルカスでいい。ただの野盗だ。気にするな」

嘘だが、今はそれでいい。

彼女をこれ以上不安にさせる必要はない。


「……そう、ですか」

完全には信じていない顔だが、それ以上は聞いてこなかった。


馬車は再び動き出す。

その中で、セレスティアがぽつりと呟いた。

「あの、わたくしもセレスティアでお願いします。えっと、……どうして、助けてくださるのですか?」


「理由がいるか?」


「……え?」


「婚約者だからだ。それで十分だろ」

しばらく沈黙が続いた。

やがて、かすかに。


「……ありがとうございます」

小さな声が聞こえた。


――さて。

これで確定だ。

セレスティアは狙われている。

しかも、かなり本気で。


「安心しろ」

俺は窓の外を見ながら言った。

「辺境伯領に入れば、もう手出しはさせない」

その言葉に、セレスティアは少しだけ微笑んだ。


…だが、次の脅威がそこまで来てることに、まだ2人は気づいていなかった。

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