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幕間 ダリアンと人ならざる者
「……もう、限界ですわ」
王都、地下神殿。
ダリアンは膝をついていた。
周囲には魔法陣。
そして――無数の魔獣の気配。
「聖女ごときの仮面で、ここまでよくやった」
闇の奥から声が響く。
人ではない。
「……まだ、足りませんの?」
ダリアンは歪んだ笑みを浮かべる。
「セレスティアが……邪魔なのです」
その名を口にした瞬間。
空気が震えた。
「ならば捧げよ」
低い声。
「お前自身を」
沈黙。
一瞬だけ――迷い。
だがすぐに。
「……構いませんわ」
ダリアンは立ち上がる。
「すべては、私が“上に立つ”ために」
魔法陣が光る。
黒い何かが、彼女の体に流れ込む。
「――っ!?」
激痛。
身体が軋む。
骨が、血が、魔力が、すべてが書き換わる。
「それでいい……器よ」
声が嗤う。
ダリアンの瞳が、完全に異質な色へと変わった。
「……ああ」
ゆっくりと顔を上げる。
その表情には、もはや人間らしさは残っていない。
「力……これが……」
背後で、魔獣たちが跪く。
支配。
完全なる支配。
「ふふ……あはは……」
笑いが漏れる。
止まらない。
「これで……」
静かに、呟く。
「全部、壊せますわね」
闇が、応えた。




