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追放された伯爵令嬢、生命をつなぐ禁忌魔法で覚醒したら冷酷な辺境伯令息に溺愛されています  作者: 積と和〝
第2章 覚醒と侵食する悪意

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第12話 セレスティア覚醒

――命を繋ぐ力


討伐隊の負傷者が、次々と運び込まれてくる。


「医療班を急げ!」

「止血が間に合わない!」


怒号と悲鳴が飛び交う。


血の匂い。

崩れかけた命。


(このままじゃ、何人も死ぬ)


俺は状況を見て、即座に判断した。


そして――視線を向ける。


「セレスティア」


「……はい」


彼女は一歩前に出た。

その顔には、はっきりと緊張が浮かんでいる。


「人に対して使ったことはない」

正直に言う。

「それでも、やれるか」


一瞬の沈黙。


――だが。


「……やります」

迷いは、なかった。


ーーー


セレスティアはゆっくりと手をかざす。


だが、これまでとは違う。


大地ではない。

目の前の“人”へ。


「人に……直接……」

震える声。


それでも、目は逸らさない。


「――満ちて」


淡い光が、彼女の手から溢れた。


それは静かに、しかし確かに――傷口へと流れ込んでいく。


「血が……止まった?」


誰かが呟く。


裂けた肉が、ゆっくりと閉じていく。


「……すごい」

別の声。


だが、セレスティアは首を振る。


「まだ……足りない……!」


さらに力を込める。


光が強くなる。


呼吸が荒くなる。


「セレスティア、無理は――」

止めようとした、そのとき。


「大丈夫……です……!」

かすれた声で、それでも笑う。


「助けたいんです……!」


その言葉に――一瞬、言葉を失った。


(……こいつは)


ただ優しいだけじゃない。


覚悟がある。


だから――


「……やれ」


短く告げた。


「責任は、俺が持つ」


その一言で、彼女の瞳がわずかに揺れた。


そして――


「はい……!」


光が、一段と強くなる。


命が、繋がっていく。


ーーー


数分後。


重傷者は、全員――息を取り戻した。


「助かった……」

「生きてる……」


安堵の声が広がる。


その中心で。


「はぁ……っ」


セレスティアの身体が、ぐらりと揺れた。


「――っ」


咄嗟に支える。


軽い。

驚くほどに。


「少し……いや、かなりやりすぎだ」


「でも……」


彼女は、弱々しく微笑む。


「みんな……助かりました……」


その顔は――どこか誇らしげだった。


「……ああ」


自然と、言葉が出る。


「今のは立派な“力”だ」


「……本当、ですか……?」


「ああ」

はっきりと頷く。


セレスティアは、少しだけ照れたように笑った。


「この力……誰かのために使えます……」


そのまま――


意識を手放した。


「セレスティア!」


抱きとめる。


力が抜けきっている。


(魔力切れか……)


「馬車を用意しろ!」


すぐに指示を飛ばす。


彼女を抱き上げる。


……軽すぎる。


こんな身体で、あれだけのことをやったのか。


ーーー


その様子を、討伐隊の騎士たちが見ていた。


「……あれが」

「追放された令嬢……?」

「嘘だろ……」


評価が、ひっくり返る。


(……広まるな)


内心でそう思う。


だが――


(無理だな)


この力は、隠せない。


「……面倒になる」

小さく呟いた。


だが。


腕の中の温もりを見て――


それでもいい、と思ってしまった。

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