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追放された伯爵令嬢、生命をつなぐ禁忌魔法で覚醒したら冷酷な辺境伯令息に溺愛されています  作者: 積と和〝
第2章 覚醒と侵食する悪意

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第9話 操られる王子

王城・私室。


「……最近、魔獣の出現が多いな」


第一王子ジョージアルは、書類から目を離し、わずかに眉をひそめた。


「辺境が処理すればよろしい話ですわ」


対面に座るダリアンは、優雅に紅茶を口に運ぶ。

まるで興味がないと言わんばかりの態度だった。


「だが、被害が出ていると報告が――」


「些細なことです」


ぴたり、と言葉を遮る。


そして、ゆっくりと立ち上がり――王子へと距離を詰めた。


「それよりも」


柔らかな声。


「セレスティアの件、きちんと処理されていますか?」


「ああ、もちろんだ」


即答だった。


「あんな華やかさも能力もない女……私のそばにいたと思うだけで虫唾が走る。もう関係ない」


「――本当に?」


その一言で、空気が変わる。


「……どういう意味だ」


ダリアンは、わずかに首を傾げた。


「もし……力を持っていたら? そのような噂も聞こえてきます」


耳元で囁くように言う。

「あなたの立場、危うくなりません?」


「……そんなはずはない!」

声を荒げる。だが、その目には明らかな動揺が浮かんでいた。


「なら――」


ダリアンは優しく微笑む。


「確認すればよろしいのでは?」


「……確認?」


「ええ。“完全に排除された”と」


沈黙が落ちる。


王子はしばらく何も言えず、やがて――


「……わかった」


絞り出すように呟いた。

「討伐隊を出す」


「さすがですわ」


ダリアンは満足げに微笑む。


「それでこそ、王になるお方」


その言葉に、王子はわずかに安堵の表情を浮かべた。


――自分が操られているとも知らずに。


ーーー


一人になった室内。


ダリアンはふっと笑みを漏らす。


「本当に単純ですわね」


窓の外へ視線を向ける。


「でも、それでいい」

静かに呟いた。


「操りやすい駒は、大歓迎ですもの」


その瞳の奥で――


暗い“何か”が、静かに蠢いていた。

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