第130話 駆けつけた二人
ビセノアは手に持った三日月を私に見せ、話し出す。
「これは返すわ」
そう言って三日月を放り投げた。
私はそれを念動で操作して、自分の手元に引き寄せた。
アイシャが私の隣に来て、小声で話し掛ける。
「お嬢様。あいつの話を聞くんですか?」
「うん。とりあえず…ね」
「魔族って言ってますけど、悪魔ですよ。いつ私達に襲いかかってくるか分かりませんよ」
すると、ビセノアが私達に話し掛けてきた。
「悪いけど、全部聞こえてんで。安心し。ウチはアンタらを攻撃せえへんし、もう街にコイツらを放す事もないから」
「あなたがガーゴイルを街に?」
「ああ、そうや。お前を探しとったんやで」
「私を?」
私はアイシャ達と顔を見合わせた。
私がビセノアに尋ねる。
「何で私を探してたの? 私はあなたの事知らないけど?」
「そら、そうやろな。こっちが一方的に探してただけやからな。ウチはその『万物念動』を使う人間に用があったんや」
私のスキルを知っている…。
「どうして私のスキルの事を知ってるの?」
「たまたまな。前にヘルバッファローと戦ったやろ? あれ、ウチのペットやねん」
あー、あの時か。
ヘルバッファローがペットって…。
全然可愛くないよ…?
「お前、今、ウチのペット可愛くないって思ったやろ?」
!?なんでバレたの?
私は慌てて答える。
「そんな事、思ってないよ!」
するとアイシャが表情一つ変えずにビセノアに答える。
「あれは可愛くないでしょう? あれをペットにする魔族のセンスが私には理解できませんけど?」
アイシャが堂々とケンカ売ったぁー!
ビセノアは不機嫌そうな顔で続ける。
「けっ! 別に人間にウチのセンスを理解してもらおうと思てへんわ! そんな事より、そのスキルの事や! そん時にお前が『万物念動』使ってるって分かったからな。だからこうやって探しに来たんや」
そこまで話したところで、ビセノアが街の方に目を向け、舌打ちをして言った。
「ちっ。誰か近付いて来るな」
私はビセノアが見ている方に目を向けた。
確かに私達の方に向かって走る二人の人影が見えた。
その二人の人影は何かを叫びながら…いや、一人だけが叫んでいた。
私はすぐにその二人が誰なのか分かった。
ダイタスさんとスネアさんだった。
「離れろー! 君たちー!」
ダイタスさんは走りながら、腰の剣を抜き、まだ全然距離があるのにその剣を振り下ろした。
ブオォォン!
その振り下ろした剣から炎が出て、その炎がビセノアに迫る。
「フンッ!」
ビセノアが腕を水平に強く振ると、その炎は方向を変え、ビセノアから外れていった。
更にダイタスさんは剣を振り、複数の炎がビセノアに向かって襲いかかる。
ブォォンッ! ブォォンッ!
「フンッ! 何回やっても一緒や!」
ビセノアはそう言いながら、さっきと同じようにその炎の攻撃を回避する。
ダイタスさんとスネアさんが私達とビセノアの間に入り、ダイタスさんはビセノアの方に剣を構えながら、私達に話し掛ける。
「君達。大丈夫か? 怪我はないか?」
私はダイタスさんの背後から答える。
「え、ええ。大丈夫です。ありがとうございます」
その答えを聞くと、ダイタスさんは少し頷き、ビセノアに話す。
「お前が最近、このモーネサウラに現れている悪魔だな?」
ビセノアは少しダルそうに答える。
「そうやったら、どうする気や?」
「愚問だな。どちらにしても悪魔は切り捨てるだけだ」
「じゃあ、最初っから聞くなやっ!」
ダイタスさんは凄い速さでビセノアに斬りかかった。
ビュンッ! シュンッ!
ビセノアは宙に飛び、その剣撃をかわすと、手をダイタスさんにかざした。
するとビセノアの手から黒い霧が出て、あっという間に広がっていく。
宙に浮きながら、ビセノアが声を出す。
「ウチのペットがお前の相手したるわ!」
黒い霧から片角のヘルバッファローが飛び出して、雄叫びを上げてダイタスさんに突進していった。
「ブォォホォォーン!」
「ふんっ!」
ダイタスさんは剣を水平に振ると、その剣撃から大きな炎が出て、向かってくるヘルバッファローを包んだ。
炎に包まれたヘルバッファローは足を止めた。
焦げ臭い匂いが辺りに漂う。
私達はその戦いを一ヶ所に集まって見守っていたが、私達のすぐ前に立ってダイタスさんの戦いを見ていたスネアさんが、私達の顔を見て気付いた。
「あれっ? ラフィーネ嬢?」
あ、もしかして、今気付きました?
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