第129話 魔族ビセノア
クウネは外壁の上に乗り、網をアイシャの方に向かって投げた。
私は念動でその網を広げる。
そしてクウネに聞く。
「クウネ! そこからガーゴイルは見える?」
「うん。見えるよー。大丈夫。そんなに離れてないよー」
よしっ! じゃあ、皆で壁を越えて、一気に倒して終らせるぞっ!
私もクウネのすぐ横に降りて、下に下ろした網の操作に集中する。
そして、アイシャ達に叫んだ。
「私が網を引き上げるから、アイシャ達はそれに捕まって!」
アイシャ、イスネリ、ミレニアさんが足元の網に捕まったのを確認して、私は念動で網を引き上げた。
ぐっ! 三人はさすがに重いな…。
外壁の高さまで上げた所でアイシャ達が壁の上に飛び降りた。
全員が壁に降りたと同時に念動が解け、落ちそうになった網をイスネリが掴んで回収してくれた。
私がほっとすると、ミレニアさんがすぐ隣に来て、声を掛ける。
「…ラフィーネさん。大丈夫?」
「うん。大丈夫だよ。それよりガーゴイルは?」
私達が街の外側を見ると、私にも赤く光る二つの眼が見えた。
ガーゴイルはまるで私達が来るのを待つように壁から数十メートルしか離れていない地面に立ち、こちらを見ていた。
それを見て、私はアイシャに聞いた。
「なんかおかしいよね? 昨日は私達から一目散に逃げたのに、今日は逃げないね?」
「ええ、何か誘い出されたような感じがします」
アイシャは誘い出されたと言ったが、ガーゴイルの周りは草原になっていて、ここから見る限りは何も怪しい物は周りにはなかった。
「とにかく、あいつを倒さなきゃいけないし、降りようか」
昇る時と同じ要領で、網を使って私達は全員、壁の外側に降り立った。
ガーゴイルはその間もそこからは全く動いていない。
何か怪しい気もしたが、こちらにとっては好機だ。
私は三日月は展開せずに、私の手元から三日月を一直線に放つことにして、私達はゆっくり歩いてガーゴイルとの距離を縮めて行く。
そしてアイシャが皆に言う。
「ここから少し広がってあいつを取り囲みましょう」
私達は固まって歩いていたのを、左右に広げながらガーゴイルとの距離を徐々に縮めていく。
ガーゴイルは私達の顔を見回した後、私と目が合った。
私はその瞬間、手元から三日月を最速でガーゴイルに向けて放った。
ビュンッ!
ガーゴイルに当たる直前にその三日月が空中で止まった。
ええっ? 何で?
するとガーゴイルの周りに黒い霧が発生し出した。
「あっ! 霧だ! 逃げられる!」
私は思わず叫んだ。
が、その黒い霧はガーゴイルのすぐ側に集まりだし、やがて人の形になっていって、一人の女性の姿になった。
その女性の手にはさっき私が放った三日月が、二本の指でつままれていた。
!? なんで? 念動で動かない?
押さえつけてるのっ?
私は女性の手にある三日月を動かそうとしたが、動かなかった。
すると、その女性が私に向かって話し出した。
「この得物はお前のんか?」
私は腰の剣に手を掛け、アイシャ達と共にその女性とのゆっくり距離縮めながら答えた。
「そうだよ。あなたは? そのガーゴイルの仲間?」
「まあ、仲間ゆうたら、そうやねんけど。とりあえずウチはアンタらを攻撃したりせえへんから、この得物、しまってくれへんかな?」
その女性は三日月を指差しながら言った。
段々距離が近付いて来て、月明かりに照らされた女性の姿が見えてきた。
その女性は褐色の肌に背中にはコウモリのような羽があり、ガーゴイルと同じような赤い眼をしていた。
そして同じ女性の私でもちょっと目を反らしたくなるような…薄着だった。
明らかに人間じゃないと感じた私は、三日月の念動を解いて、その女性に尋ねる。
「あなたはだれ?」
女性は手にとった三日月を眺めながら、私達に答えた。
「ウチはビセノアや。魔族や。まあ、アンタらの言う悪魔ってヤツやな」
魔族…?
悪魔なの? あの人。
その女性…ビセノアは私に言った。
「この得物を使うアンタに話があんねん。ちょっとエエか?」
話…?
私は剣に手を掛けたまま、そこに立ち止まった。
周りではアイシャ達も武器を構え、立ち止まっていた。
「分かった。話って、何?」
私は剣から手を離して、ビセノアに言った。
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