第109話 それはきっと看板娘
私はアイシャに焼いてもらったお肉を食べて、アイシャに尋ねる。
「うーん、美味しいね。このお肉。ウッズボア?だっけ。アイシャが捕まえたの?」
「いえ、私とナヴィで追い込んで、最後はクウネが仕留めました」
「ナヴィが追い込んだの?」
「ふふん、その辺にいたトレントゴーレムを使って追い込んだにゃ」
「すごいね。そっか、ゴーレムマスターだもんね」
ナヴィがまたドヤ顔になった。
やっぱり性格変わったね…。
隣に座るミレニアさんが私に赤い果物を出して、話し掛ける。
「…ラフィーネさん。これもどうぞ。美味しいですよ」
「あ、ありがとう! いただくね」
すっかりお腹一杯になった私は立ち上がって、伸びをすると傍らに置いた水晶のノユンに話し掛ける。
「ごめんね。ノユン。私達だけで食べちゃってて」
「あー、全然気にしないで。元々精霊は何も食べないし」
「そっか。それじゃあ、そろそろランシーアに戻るけど、いいかな?」
ノユンは水晶の中で周りの森を見渡した。
初めてかどうか分からないけど、ノユンは自分が生まれ育った森を離れるんだ。
ちょっと名残惜しそうな顔をしたノユンだったが、私の方を向いて答える。
「うん。いいよ。ありがとう」
私は笑顔でそれに応えると、イスネリにお願いする。
「じゃあ、イスネリ。お願いしてもいいかな?」
「分かりましたですの」
イスネリはワイバーンの姿になり、私達は順に乗り込んでいった。
私はノユンの水晶を鞄に入れようとしたけど、やめて右手に水晶を持ったままイスネリの背中に乗った。
私の左手を握ったアイシャが私に聞いてくる。
「片手だと危ないですよ?お嬢様」
「大丈夫だよ。ちょっとノユンに空から森を見せてあげたくてね」
私の両隣でアイシャとミレニアさんが笑顔を浮かべた。
「そうですね。いい考えだと思います」
ミレニアさんが水晶を持つ私の右腕に自分の左腕をしっかり組んで、私に話す。
「…じゃあ、私がしっかり支えるね。ラフィーネさん」
「はは、ありがとう。ミレニアさん。お願いするね」
イスネリが静かに空へと舞い上がった。
森の上空を大きく旋回して、ランシーアの方角へ向かう。
私の手の平で水晶の中にいるノユンが、森の方に視線を向けているのが分かった。
やがて森が後ろの方に見えなくなると、ノユンが私に話し掛けてくる。
「ありがとう。もう大丈夫、鞄の中にしまっても」
「うん。そうするね」
私は水晶を鞄の中にしまった。
私の右手が空いたが、なぜかミレニアさんが組んだ腕を離してくれない。
「もう大丈夫だよ。ミレニアさん」
「…そうだね。でもまだ危ないから、このままで行きましょう」
うーん。膝枕といい、腕組みといい、私は悪い気はしないし、このままでいっか。
イスネリは昨日飛んだ時よりは、少しゆっくりとした速度でランシーアに向かって飛んで行った。
空を駆ける風を受けながら、私はミレニアさんに尋ねた。
「そういえばミレニアさんって、アルメダさんのキャラバンの専属護衛って言ってたよね?」
「…うん。そうだけど」
「今はアルメダさんはお店出してるから、護衛は要らないよね? 何か手伝ったりしてるの?」
「…うん。お店のお手伝い、してるよ。でも、私は商品とかお金の事とかはあんまり分からないから…」
「分からないから…?」
「…アルメダさんからは『お前は店の前の目立つ所で立っているだけでいい』って言われてる…」
…なるほど…。
アルメダさんの所は女の人ばっかりだからそれだけで目立つもんな。
それにこんな美人が店の前にいたら、男の客は寄って来るよな。
アルメダさんの狙いが分かった気がした。
「…ん? それがどうかしたの? ラフィーネさん」
ミレニアさんが不思議そうに私に聞いてくる。
「いやいや、ちょっと気になっただけだから」
…さすがアルメダさん。
ミレニアさんの魅力を分かってらっしゃる。
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